イタリア南部・ナポリやシチリア島の一度は行きたい美術館・博物館!
目次
引用:https://www.needpix.com/photo/1635960/naples-italy-piazza-plebiscito-prefecture
イタリアには5,000館ほどの美術館・博物館があり、その数は世界一と言われています。
しかしその中でも、とくに有名な物はローマやバチカン市国、フィレンチェなどに集中しています。そうした美術館は予約必須で、いつ行っても大混雑が当たり前。
ですがイタリアでは、それ以外の地域でもその土地に由来のある画家の作品や、近隣の遺跡で発掘された出土品、あるいは何かしらの分野に特化したものを取り扱っている美術館・博物館もたくさんあります。
そうしたところは観光客も少なく、じっくりと楽しむことができますよ。
そこで今回はイタリアの中でも南部に絞って、一度は行ってみたい美術館・博物館を特集してみました。
ナポリやシチリアなど、世界有数のリゾート地が数多くあるイタリア南部で、のんびりとアートに触れるのは、格別のひと時になること間違いなしです。
ぜひあなたのイタリア旅行の参考にしてみて下さい。
イタリア南部の見逃せない美術館・博物館!ナポリやシチリア島など
南部は遺跡などは数多くありますが、それらを展示する博物館や美術館は中部のローマ・フィレンチェに比べるとやはり少なめです。
しかし、実はそうした大きな施設こそ少ないものの、南イタリアの歴史や文化を後世に伝えるための中・小規模な施設は、他の地域よりも充実しているのです。
具体的にどのようなものがあるか、さっそくご紹介いたしますね。
国立考古学博物館(ナポリ)
引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Napoli,_museo_archeologico2.jpg
いきなり考古学?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、ナポリの国立考古学博物館はイタリアの数千年を超える歴史を体験することのできる、ヨーロッパでも指折りの博物館です。
展示品の数々はファルネーゼ・コレクションと呼ばれ、イタリアで出土した大理石の彫刻や壁画、モザイクはもちろん、メディチ家由来の宝飾品や調度品、エジプトの美術品など様々です。
中でも近隣にあるポンペイ遺跡から発掘されたものが数多く展示されていて、観光客の中にはポンペイに行く前に国立考古学博物館で下調べをしていく人も多いんだとか。
大理石の彫刻はほとんどが紀元前のもので、ギリシア神話を題材としたものです。
その精緻さとダイナミックさから、これらの彫刻をローマ教皇パウルス3世が自宅の庭に飾るためにミケランジェロに修復を命じたという逸話が残っています。
ミケランジェロは初めてこれらの彫刻を見た時、そのクオリティに言葉を失ったとか。
南イタリアの有名な観光地ポンペイで出土した、火山灰によって奇跡的にその姿を残したフレスコ画などは、まさに必見。神話だけではなく、ポンペイの住民のフレスコ画なども見ることができますよ。
見どころが多く、しっかりと見て回ると3時間では足りないほどのボリュームを誇ります。
最寄駅はその名もMuseo(博物館)という地下鉄駅になります。
ナポリで有名なサンタ・マリア・アッスンタ大聖堂からも近く、歩いて5分ほどの距離ではありますが、実はこの駅の中にも出口ゲートに沿って彫刻や写真作品などの芸術品が展示されているので、併せて見ておきたいスポットです。
住所 |
Piazza Museo, 19, 80135 Napoli NA, イタリア |
営業時間 | 9時00分~18時30分 火曜定休 |
入場料金 | 20ユーロ (18歳以下は無料 18~25歳までは2ユーロ) |
マードレ美術館(ナポリ)
引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Museo_Madre,.jpg
マードレとはイタリア語で「母」のこと。
すべての現代美術の母のような存在になれるようにと言う思いから、名づけられたと言います。
考古学博物館と同じくサンタ・マリア・アッスンタ大聖堂からほど近いところにあるため、アクセスしやすいのも嬉しい点ですね。
イタリアの美術館は、中世ルネサンス期の作品が中心の場合がほとんど。ナポリでも現代美術館と呼ばれるのはここだけの、唯一無二のスポットです。
オープンしたのは2005年ですが、それ以来イタリアのアーティストを中心としながらも国内外さまざまな現代美術を常設しています。
特に地元ナポリ排出のアーティストの作品が豊富で、ミンモ・パラディーノ氏が制作した彫刻「馬」などは何と屋上に展示されています。
ゆっくりと回って二時間ちょっとほどの広さですが、入場料金はリーズナブルで、街歩きのついでに訪れるのもおすすめのスポットです。
イタリアのアートのもう一つの顔を覗くことができますよ。
住所 |
Via Luigi Settembrini, 79, 80139 Napoli NA, イタリア |
営業時間 | 10時00分~19時30分(日曜のみ20時まで) 火曜定休 |
入場料金 | 8ユーロ |
カポディモンテ美術館(ナポリ)
引用:https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Palace_of_Capodimonte_-_Facade.jpg
イタリア磁器の発祥の地とも言われるのがカポティモンテ。その窯跡に建てられたのがカポディモンテ宮殿であり、現在の美術館です。
ティツィアーノやエル・グレコといった巨匠の作品はもちろん、カルロ7世が継承したファルネーゼ家の膨大な美術品のコレクションが収蔵されており、さらに幻とも呼ばれるカポティモンテ磁器も展示されています。
もともと宮殿だったことを生かして、豪華絢爛な食堂の間やダンスホールも公開されており、食器や肖像画も見ることができます。
特にカルロ3世の妻、マリア・アマーリア・フォン・ザクセンの化粧室は、現在では貴重なカポティモンテ磁器のタイルで全面が覆われており、その中国風(シズワリー)とロココ風味の混ざったデザインは必見です。
ルネサンス・バロック期の絵画コレクションが充実した、イタリアの中でも屈指の美術館ですが、あまり混雑することはないのでご安心ください。
住所 |
Via Miano, 2, 80131 Napoli NA, イタリア |
営業時間 | 8時30分~19時30分 水曜定休 |
入場料金 |
15ユーロ 18歳未満無料 |
マフィア資料館(シチリア)
引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:No_Mafia_Memorial_Palermo.jpg
少し変わった、イタリアらしいスポットに行ってみたい方は、マフィア資料館はいかがでしょうか。
シチリア島の州都にして最大の街パレルモと言えば、マフィア発祥の地として有名です。かつては実際にこの地でマフィアが栄華を極め、支配していた時期もありました。
現在もマフィア自体は存在すると言われているものの、街を歩いて危険な目に合うことはほぼ100%ありません。
しかし地元の住民はいわゆるゴッドファーザー的なマフィアのイメージと偏見に長年苦しめられてきました。
そうした中でシチリアでは、州全体で「反マフィア」を標榜するようになり、その流れでこのマフィア資料館は設立されたのです。
画像にもある通り、門の前には「NO MAFIA」と大きく書かれています。
館内ではマフィアに関する資料はもちろん、実際のマフィアの写真や彼らの装飾品、取引記録から膨大な裁判資料に至るまで、まさにイタリアのマフィアにとことん特化した博物館となっています。
マフィアとその被害者たちの歩んできた歴史を、生々しい物語のように体験できる場所ですので、興味のある方はぜひ訪れてみて下さい。
住所 |
Via Vittorio Emanuele, 353, 90134 Palermo PA, イタリア |
営業時間 | 11時00分~17時00分 火曜定休 |
入場料金 |
無料 |
メッシーナ州立博物館(シチリア)
シチリア島にはあまり大きな美術館・博物館がなく、専門的なものを取り扱う中規模の施設が多い印象があります。
そうした中でここメッシーナ州立博物館は比較的大きく、展示室は13室あります。とはいえ見て回るだけなら1時間とかからない、どちらかと言えば気軽な博物館です。
ですがここに常設されている2点の絵画は、それだけのために訪れる人が大勢いるほどのものです。
それが、「ラザロの復活」と「羊飼いの礼拝」。
カラヴァッジョが生涯に描いた30点ほどの作品の内のこの2点は、そのどちらも3m×2m以上のとても大きなキャンパスに描かれ、その題材とカラヴァッジョの写実的かつ劇的な筆致により、凄まじいまでの存在感を放っています。
この2点は隣り合って展示されていて、正面にはベンチも配置されていますので、心行くまでこの傑作を楽しむことができます。
カラヴァッジョファンなら一度は訪れたい、まさに聖地のような博物館です。
住所 |
Viale della Libertà, 465, 98121 Messina ME, イタリア |
営業時間 | 9時00分~19時00分(日曜のみ13時30分まで) 月曜定休 |
入場料金 |
9ユーロ 18歳未満無料 |
南イタリアの見逃せない美術館・博物館のオススメまとめ
今回はイタリアの南部にある、素敵な美術館。博物館についてご紹介しました。
南イタリアには今回紹介しきれなかった、マヨリカ焼きのタイルの美術館や実際の殉教者の遺骸が安置されている博物館、またシチリア名産のアンチョビをテーマとした博物館などもあり、この土地ならではといった体験と学びを得ることができます。
有名作家の作品の数こそローマなどには及びませんが、こうした南イタリアらしい文化を体感したいのであれば、美術館や博物館に訪れるのもオススメです。
ガイドの方などに話を聞くことができれば、なお素晴らしい体験となることでしょう。
今回の記事で気になった美術館博物館がありましたら、是非イタリア旅行の際にお立ち寄りくださいね。