イタリア北部・ミラノやベネチアの一度は行きたい美術館・博物館!
目次
イタリア旅行で欠かせないのが、美術館と博物館巡りです。ルネサンスから現代まで、受け継がれてきたイタリアのアートの歴史と文化は、世界一と言っても過言ではありません。
展示してある絵画や彫刻はもちろん、美術館自体も歴史ある邸宅や宮殿を改装したものが多く、アートに詳しくない方でも訪れる価値のあるものです。
そんな美術館・博物館ですが、なんとイタリアには大小合わせて5,000棟弱もあるのはご存じでしたか?
とくに有名な美術館はローマやフィレンチェなどの中部に集中していますが、北部にもファッションの発信地ミラノや、世界有数の観光地ベネチアなどに、大きなものから隠れた穴場までいくつもの美術館・博物館がひしめき合っています。
今回はそんな中から厳選した、イタリアの北部にある絶対に見逃せない美術館・博物館についてご紹介します。
ぜひイタリアへの美術ツアーを考えている方は、今回の記事を参考にしてみて下さい。
イタリア北部の見逃せない美術館・博物館!ミラノやベネチアなど
やはり規模が大きく、見ごたえがあるものが多いのはミラノやベネチアなど大都市に多め。
特にミラノは北イタリア最大の都市で、アートの発信地でもあるため、大小様々な美術館・博物館があります。
ですがそれ以外の土地にも、その地に由来したアーティスト一派の作品や、少し珍しいものをテーマに展示を行っている美術館なども数多くありますよ。
さっそくご紹介いたしましょう。
アカデミア美術館(ベネチア)
引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Venezia_-_Accademia_di_Belle_Arti.jpg
ベネチアと言えば水の都ですが、意外なことに数多くの美術館が立ち並び、年に一度国際的な美術展でもあるベネチア・ビエンナーレが開催されるなど、アーティスティックな街でもあります。
そんなベネチアで最も有名なのが、アカデミア美術館です。
アカデミアという名前の通り、もとは美術学校として1750年に設立されましたが、その後19世紀に美術館として独立しました。
この土地にちなんだ、ベネチア派と呼ばれる画家たちの作品を数多く収蔵しているのですが、彼らは主に教会に飾るための絵を描いていたため、巨大な作品が多いのが特徴です。
またレオナルド・ダ・ビンチの「ウィトルウィウス的人体図」や、ティツィアーノの「ピエタ」など有名な作品も多く、イタリアを代表する美術館の1つと言えます。
見どころの多い美術館ですが、敷地面積はほどほどの広さで、1時間ほどあれば全体を周ることができます。
またピーク時以外だとベネチアの中では比較的混みにくいスポットで、オンラインでのチケット予約も必須と言うほどではありません。もちろんあらかじめ予約しておいたほうが安心ではありますが…
開館時間も他の美術館に比べると長めの8時15分から18時20分までとなっており、ベネチア旅行の空いた時間に訪れるのにぴったりのスポットです。
ちなみにアカデミア美術館は、イタリアにはフィレンチェなどにも同名の美術館があります。検索するときには後ろに「ベネチア」などを付けて、間違えないようにしましょう。
住所 |
Via Ricasoli, 58/60, 50129 Firenze FI, イタリア |
営業時間 |
8時15分~18時20分 月曜定休 |
入場料金 | 12ユーロ (18歳以下は無料 18~25歳までは2ユーロ) |
ブレラ美術館(ミラノ)
引用:https://www.flickr.com/photos/boscdanjou/41085792250
北イタリアでベネチアと並んで有名な都市、ミラノにも有名な美術館は数多くあります。
ブレラ美術館はその中でも屈指の展示数と、ルネサンス期を語るうえで欠かせない作品群が収蔵されている、質と量ともにミラノを代表する美術館です。
ラファエロの「聖母の結婚」や、カラヴァッジョの「エマオの晩餐」など、展示している作品群はその多くがキリスト教を題材とした中世~近世のもの。
建物の一階は現役の美術大学で、二階から上が美術館になっています。
北イタリア屈指の美術館ですが、フィレンチェやローマなどの予約必須の美術館とは異なり、現地でチケットを購入してもさほど問題がない程度には空いているのも嬉しい点です。
また2024年12月には、近隣にブレラ近代美術館がオープンする予定です。
ここにはブレラ美術館に収蔵されていたものの、時代が新しすぎるという理由で展示されないままだった近代以降の作品が並ぶことになり、大きな注目を集めています。
空調から出る空気にアスベストが混じっていたなどのトラブルにより、なんと発案から50年以上の時間をかけて実現した近代美術館も、ミラノの見逃せないスポットの一つとなりそうです。
住所 | Via Brera, 28, 20121 Milano MI, イタリア |
営業時間 | 8時30分~18時00分 月曜定休 |
入場料金 |
15ユーロ 毎月第1日曜日は無料(入場完全予約制) 18歳未満無料 |
レオナルド・ダ・ヴィンチ科学技術博物館(ミラノ)
ミラノに訪れたならぜひ訪れておきたいのは、ブレラ美術館だけではありません。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を見たいという方は多いでしょうが、あの作品があるのはサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会という場所で、なんとチケットは3ヵ月待ち!
予約が取れなかった…という方にオススメしたいのが、このレオナルド・ダ・ヴィンチ科学技術博物館です。
もともとは修道院だった場所を博物館に改築しており、科学的思考の発達と工業技術の発展を紹介するために、科学技術に関するさまざまな展示品が並んでいます。
二階には名前のとおり、レオナルド・ダ・ヴィンチが設計した様々な発明品のデッサンやモデルがずらりと並んでいます。
画家としてだけでなく、優れた発明家としても名を馳せたレオナルド・ダ・ヴィンチの叡智を垣間見ることができる、世界でも珍しい博物館の1つです。
またほかのエリアではクラシックカーや蒸気機関車などの乗り物や貴重な時計、月の石なども展示されており、大人も子供も楽しめる場所として多くの人に愛されています。
外には本物の潜水艦も展示されていて迫力満点ですよ。
住所 | Via San Vittore, 21, 20123 Milano MI, イタリア |
営業時間 |
(夏)火曜日~金曜日 10時から18時まで (冬)火曜日~金曜日 9時から17時まで |
入場料金 |
10ユーロ |
アンブロジアーナ図書館・美術館(ミラノ)
引用:https://www.flickr.com/photos/jorge-11/48188409306
ミラノ大聖堂から歩いて数分、少し道の奥まったところにあるアンブロジアーナ図書館が創立されたのは1607年、市民にも公開されたのは1609年のこと。
以来400年以上、現在でもアンブロジアーナ図書館は公共施設として利用されています。
その図書館と併設しているのが、アンブロジアーナ絵画館です。
見た目はこじんまりとしていますが、中に入るとイタリアのルネサンス期の黄金時代を彩った、レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロ、カラヴァッジョにボッティチェリ、ティツィアーノなどのそうそうたる画家たちの作品が飾られています。
特にレオナルド・ダ・ヴィンチの「音楽家の肖像」は、彼の生涯で10数点しかない作品の1つとして大変貴重なものです。
またアンブロジアーナ絵画館は、順路通りに進むと最後にサラ・フェデリチアーナ(Sala Federiciana)というかつての図書館の一部を展示室に改築したエリアに出るのですが、そこにはダ・ヴィンチが40年間ほど書き綴った「アトランティコ手稿」の一部が展示されています。
その内容は数学や植物学、動物学に始まり、天文学、幾何学、土木工学、軍事兵器技術などの走り書きや精緻なデッサンが直筆で描かれたもので、ダ・ヴィンチの天才ぶりがうかがい知れるものです。
アンブロジアーナ絵画館は単なる絵画の展示場所というだけではありません。
フレスコ画やステンドグラス、古代図書館といった要素を組み合わされ、中庭にはダンテの神曲のワンシーンからインスピレーションを受けたとされる彫刻が立ち並ぶなど、その空間自体が計算され、アートとしてデザインされています。
静かで趣のある展示室は、じっくり見て回ると二時間ほどは必要。しかしイタリアでこれほどのランクの収蔵品がある美術館としては、驚くほど空いているのも特徴です。
チケットはオンラインでも購入できますが、現地購入でもほとんどの場合は問題ありません。さらに以前は写真撮影が禁止されていましたが、現在はフラッシュをたかなければ、スマートフォンなどでの撮影が許されています。
ゆったりと落ち着いた空間で美術鑑賞をしたいという方にオススメしたい、ミラノの穴場の絵画館です。
ちなみに絵画館のチケットで図書館も入場可能ですが、開館日と営業時間が違うのに注意!
絵画館は水曜定休の10時から18時まで。
夏季休暇やクリスマス休暇など変則的な休館日もありますので、訪れる際は公式サイトなどでご確認ください。
図書館は土日定休の9時(観光客は10時)から16時50分まで開館しています。
住所 | Piazza Pio XI, 2, 20123 Milano MI, イタリア |
営業時間 | 10時から18時00分まで 水曜定休 |
入場料金 |
15ユーロ (5歳まで無料・6~14歳は5ユーロ・15~18歳、大学生は10ユーロ・65歳以上は13ユーロ) |
ミラノ市立近代美術館(ミラノ)
引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:La_Galleria_d%27Arte_Moderna_di_Milano_GAM_al_tramonto.jpg
イタリアでは中世・ルネサンス期の名作がいくつも見られるのは有名ですが、意外にも近世以降の作品はあまり見ることができません。
特に日本人の多くに好まれるという印象派の作品は貴重なのですが、ミラノ市立近代美術館はそうした作品が数多く展示されています。
建物はもともとルドヴィーコ・バルビアーノ・ディ・ベルジョイオーゾ伯爵の私宅として造られた、ネオクラシック様式の豪華なもの。裏にはミラノで初めて造られた、イギリス式庭園が広がっています。
しかし当時ミラノがフランスに支配されたあおりを受け、完成直後にフランス軍総督のジョアシャン・ミラに奪われてしまったという歴史を持ちます。
その後ジョアシャンはナポレオンの妹と結婚し、この館はナポレオンに献上されたとか。数々の有力者の手を渡り歩いてきた館は、1920年にイタリア国所有のものとなり、1921年に近代美術館が移転されました。
そんなミラノ市立近代美術館は3フロアあり、4,000点ほどのコレクションを収蔵しています。
2階まではイタリア人画家の作品が中心ですが、3階にはかのピカソやゴッホ、ゴーギャン、ロートレックやセザンヌなど、海外の有名画家の作品が常設されています。
また彫刻作品も多く、豪華な内装と合わせて大小さまざまな作品を体験することができますよ。
市立美術館のためか、入場料もわずか5ユーロと格安なのも嬉しいですね。
住所 | Via Palestro, 16, 20121 Milano MI, イタリア |
営業時間 | 10時から17時30分まで 月曜定休 |
入場料金 |
5ユーロ (18歳未満は無料・大学生や65歳以上は3ユーロ) |
エジプト美術館(トリノ)
引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Torino,_Museo_egizio_%28252%29.jpg
イタリア北西部にある都市トリノには、ちょっと変わった美術館があります。
イタリアにまで来てエジプト美術館?と思うかもしれませんが、なんとここは古代エジプト美術品に関しては、カイロにあるエジプト考古学博物館に次ぐ世界最大級の規模を誇っているのです。
数多の神像やツタンカーメン、ラムセス二世などの王の埋葬品、あのスフィンクスの像や本物のミイラ、「死者の書」3種など、エジプトに詳しくなくても耳にしたことのあるようなアイテムが展示されており、だれにとっても楽しめる美術館になっています。
更に言えばこの美術館、ギャラリーの設計はアカデミー賞で美術賞を取ったこともあるダンテ・フェレッティ氏が設計したもので、展示の仕方にもセンスを感じられるものになっています。
館内は広く、一人ですべて見て回ろうと思うと2時間30分ほどかかります。
また、北イタリアの中ではかなり混雑する美術館で、特に週末には多くの人でにぎわう人気スポットです。
チケットはオンラインのみで、現地購入はないので注意!公式サイトなどであらかじめ予約しておきましょう。
住所 | Via Brera, 28, 20121 Milano MI, イタリア |
営業時間 |
火曜日~日曜日 9時から18時30分まで |
入場料金 |
18ユーロ (5歳まで無料・6~14歳は1ユーロ・15~18歳、大学生は3ユーロ) |
北イタリアの見逃せない美術館・博物館のオススメまとめ
今回はイタリアの中でも北部にある、素敵な美術館・博物館についてご紹介しました。
イタリアはアートに関しては世界屈指と言ってもいい国の1つで、多くの都市に大小問わず様々な美術館や博物館があります。
ローマやフィレンチェの有名な美術館などは、何日も前から予約しないと入れないほど混雑していることがほとんどです。
しかし、イタリア北部のミラノやベネチアにある美術館は、内容はそれに匹敵するほど豪華でありながら比較的空いていることも多く、落ち着いてアートを眺めることができます。
今回の記事ではそれぞれの入場料金などについてもご説明しましたが、イタリアでは複数の美術館・博物館・礼拝堂などの観光スポットがセットになったお得な共通チケットも何種類も販売されています。
イタリアへ美術鑑賞ツアーに赴く際は、今回の記事と合わせて確認してみてくださいね。