駐車場経営の初期費用はどれくらいかかる？費用を抑えるポイントも解説！

駐車場経営の初期費用を決める要素とは？

まず、駐車場経営を始める際の初期費用については、土地面積の規模によって異なります。
土地面積によって整備する範囲や必要な設備の数が変わってくるからです。

例えば、土地面積が大きくなると整備が必要な範囲が広くなり、設置する設備の数も増えるため、初期費用は当然高くなります。
駐車場経営の初期費用をシミュレーションしたい場合、まずは企画したい土地の広さを把握し、そこから逆算して費用を計算することが大切です。
土地面積が明確に把握できれば、自分のイメージする事業計画によって、駐車場経営の初期費用をシミュレーションすることができます。

月極駐車場とコインパーキングを比較する

土地面積が同じであれば、企画する駐車場の種類によっても初期費用は変わります。
駐車場経営を始める場合、月極駐車場とコインパーキングのいずれかで検討するのが一般的です。

初期費用だけを比較するとコインパーキングの方が、月極よりもコストはかかります。
どちらもメリットとデメリットはあるので、かかる初期費用と収益性を考慮して自分の土地にあった方を選ぶことが大切です。

土地の面積や立地によって異なりますが、ローコストで安定性を求める場合は月極、一定の資金を投下して収益性を求める場合はコインパーキングがよいでしょう。
なお、月極とコインパーキングの具体的な初期費用については、次の章で解説します。

費用内訳

駐車場経営の初期費用を知りたい場合、はじめに費用の内訳を知っておくことも大切です。
内訳を知ることで、どのような費用がかかるのか把握できるため、シミュレーションがスムーズにできます。
駐車場経営にかかる初期費用の内訳は、ざっくり以下の通りです。

〇土地整備費：アスファルト舗装や砂利敷き、区画線などの土地を整備する費用
〇設備費：料金計算機やロック板、立体駐車場の建築など、土地上に設置する設備にかかる費用
〇その他：管理費や人件費など

月極駐車場とコインパーキング、それぞれでかかる費用内訳についても後の章で解説します。

費用を抑えることも大切なポイント

駐車場経営を成功させる上で、はじめにかかる初期費用を抑えることは大切なポイントです。
特に銀行融資を利用してスタートする場合、費用を抑えることでローンの条件が良くなり、月々の返済を楽にできるメリットがあります。

駐車場経営は、アパートやマンション経営と同じ不動産投資であり、不動産賃貸事業の1つです。
不動産の賃貸事業は売上が安定している反面、短期的に大きく収入が上がることは基本的にありません。
よって、初期費用を抑えて少しでも手持ち資金を残しておくことで、経営が楽になり、急な出費によって資金ショートになるリスクを防ぐことができます。

駐車場経営においても初期費用を抑えることで、経営上の収支が安定し、売上による資金回収も早くなるので、はじめから費用を抑えることは意識しておきましょう。
具体的な初期費用を抑えるためのポイントについても後の章で詳しく解説します。

月極駐車場経営の初期費用

ここでは、月極駐車場経営を始める際にかかる具体的な初期費用について解説します。
月極駐車場は立体式にしない限り、基本的に設備を必要とすることは少ないため、初期費用を抑えられる点がメリットです。
できるだけ費用を抑えられる方法についても紹介するので、月極駐車場経営に興味がある人は参考にしてください。

土地整備費

月極駐車場は土地整備費が初期費用のほとんどを占めます。
アスファルト舗装で整備する場合、かかる費用は一般的に以下のようになります。 　　

整備内容	費用（1坪あたり）
アスファルト舗装工事	1～2.5万円
区画線引き	1千円前後

基本的に、整備する土地が狭いほど費用は割高になり、広い土地ほど割安になります。

また、更にコストを抑えたい場合は砂利敷きの駐車場にする選択肢もあります。
砂利敷きで整備する場合、費用相場は以下の通りです。 　　

整備内容	費用（1坪あたり）
砂利敷き（砕石）工事	1万円前後

アスファルト舗装をしない場合、区画線にはロープを利用しますが、自分で張ることで更に費用を削減できます。
月極駐車場は、更地であればそのまま始めることもできるため、とにかく費用を抑えてスタートしたい人におすすめの選択肢です。 　　

　　

設備費

月極駐車場の場合、夜間照明や防犯カメラなどを設置しない限り、基本的にかかる費用はありません。
立体駐車場を建設する場合には、自走式で1台あたり100～300万円前後、機械式で1台あたり100～500万円前後がかかります。
立体駐車場は駐車区画を増やせることで収益性を上げる効果がある反面、初期費用が高額になるため、慎重に検討することが大切です。 　　

その他

駐車場の管理を不動産会社に任せる場合や管理人を雇用する場合は、不動産会社に支払う管理手数料や管理人に支払う人件費が発生します。
駐車場の規模が大きい場合や遠方に住んでいて日常的に見に行けない場合には、利用者や隣人などのトラブルを防ぐために管理に関わる費用が発生するケースもあるでしょう。 　　

　　 　　　　　　　　

コインパーキング経営の初期費用

利用者が賃貸借契約により決まっている月極駐車場と比較して、不特定多数の顧客が利用するコインパーキングは、必要な設備が多いため初期費用は高額になります。
その分、売上が基本的に一定の月極と比較して、高い収益性が期待できるため、ニーズが高い立地であれば、おすすめの選択肢です。

ここでは、そんなコインパーキング経営の初期費用について解説するので、コインパーキングで収益性を上げたい人は参考にしてください。

土地整備費

土地整備費については、コインパーキングと月極で費用の違いは基本的にありません。
月極の際に解説したように、以下のような費用負担になります。

整備内容	費用（1坪あたり）
アスファルト舗装工事	1～2.5万円
区画線引き	1千円前後
砂利敷き（砕石）工事	1万円前後後

利用者が決まっている月極と異なり、不特定多数の顧客が利用するコインパーキングは、駐車のしやすさや管理面を考慮して、アスファルト舗装がおすすめです。
初期費用をできるだけ抑えたい場合は、未舗装のまま設備を設置することもできるので、事業計画や資金計画に合わせて検討しましょう。

設備費

コインパーキングは月極と違って、料金を計算する機械や違反利用者を防止するためのロック板といった設備費用がかかります。
料金計算機は基本的に、1つの駐車場に対して1台で済みますが、ロック板は駐車台数分かかるため、規模が大きい駐車場ほど、費用は高額になります。
料金計算機とロック板にかかる費用は以下の通りです。

設備名	費用（1坪あたり）
料金計算機（設置費込み）	100万円前後
ロック板	10万円前後

大規模な土地のゲート式コインパーキングで、入口と出口を設ける場合は、発券機と料金計算機の2台が必要になり、ロック板が逆に不要になります。
ゲート式は発券機がプラスで50～60万円前後かかるだけで済むため、大規模な土地であればゲート式の方がコストメリットは高いです。

その他

コインパーキング業者の一括借り上げを利用する場合や管理人を雇用する場合は、業者に支払う管理手数料や管理人に支払う人件費が発生します。
一括借り上げは、収益性こそ一定になるものの、売上の増減があるコインパーキング経営において安定した収入が見込める点がメリットです。
業者によって条件は異なるため、コインパーキング経営に興味がある人は、一度相談してみることをおすすめします。

駐車場経営の初期費用を抑える6つのポイント

ここでは、駐車場経営において初期費用を抑えるためのポイントについて解説します。
初期費用を抑えることで、手元資金を残すことができリスクヘッジの効果があるので、以下の内容をぜひ実践してみてください。

立地条件を厳選す

立地条件を厳選することで集客がしやすくなり、初期費用を抑えても収益化できる可能性が高くなります。

例えば、駅や住宅地、観光地などから近い場所は、駐車場の需要は高いです。
駐車場経営だけでなく、不動産投資において立地は最も重要な条件であり、立地が悪いだけで、高額の費用を投資しても集客に苦戦するケースは少なくありません。
立地だけは費用をかけても改善できない要素であるため、立地条件のよい土地で駐車場経営を目指しましょう。

必要な設備を最小限にする

集客に直結しない自己満足の投資は、事業においては不要です。
必要な設備は最小限にとどめましょう。

例えば、繁華街から近い場所で夜でも明るい場所で駐車場経営をする場合に、いくつも夜間照明をつけるのは、費用対効果を考えてあまり意味がありません。
初期費用を最小限にすることで、資金の回収スピードも早くなるので、最小の投資で最大の利益を目指すことが投資において大切な考え方です。

自力で作業する

専門業者に依頼せず、自力で作業すれば抑えられる費用も駐車場経営には存在します。
駐車区画を区切るロープや防犯カメラ、夜間照明などの設置は自力で可能な作業なので、自助努力のコスト削減も初期費用を抑える上で、大切なポイントです。

中古設備を活用する

料金計算機やロック板など、設備は中古のものを活用することで初期費用を抑えることができます。
あらゆるものの中古市場が活発になっている今、駐車場経営においても中古設備を導入することでコスト削減が可能です。

補助金を活用する

行政からの補助金がある場合は、活用することで自己資金から捻出する初期費用を抑えることができます。
空き家問題が深刻化する中、土地活用に向けての補助金が充実している自治体は多いです。
補助金は銀行融資と異なり返金の必要がないため、要件を満たす場合は必ず利用しましょう。

駐車場経営業者に相談する

駐車場経営を専門とする業者に相談することで、初期費用を抑えられるケースもあります。
取引業者が豊富にあるので、土地整備や設備の設置まですべて依頼すれば、自分で発注するケースより安くなる可能性は高いです。
基本的に、管理委託が条件にはなりますが、経営のノウハウが豊富な専門業者に依頼することで、安定した収益が見込めるメリットもあります。

駐車場経営の魅力とは

駐車場経営には、他の事業と比較したメリットがたくさんあります。
ここでは、そんな駐車場経営の魅力を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

少ない初期費用で始められる

不動産投資の中でも駐車場経営は少ない初期費用でスタートできるため、始めるハードルが低いメリットがあります。

同じ不動産投資でもアパートやマンション経営であれば、数千万円から数億円の投資になり、初心者にはハードルが高いですが、駐車場経営であればそんなことはありません。
月極であれば更地でも貸し出すことは可能であり、コインパーキングでも数百万円レベルが平均的な投資額です。
初期費用が少ないことで銀行融資も利用しやすいので、リスクの低い不動産投資がしたい人は、まず駐車場経営をおすすめします。

安定した収益が見込める

収益が安定している点も駐車場経営の魅力です。
不動産投資で全体的に言えることですが、土地ごとの立地に合った事業ができれば、基本的に収入は安定します。
駐車場経営の中では月極駐車場の方が収入は安定しており、コインパーキングの方が、収入にばらつきはあるものの、高い収益性が期待できます。

土地活用の有効手段

親から相続を受けた場合など、すでにある土地の活用方法を考える場合には、駐車場経営はとても有効な手段です。
建物を建てる必要がないので費用負担が少なく、更地であれば費用負担ゼロで貸し出すことも可能です。 初期費用が抑えられることで、無借金であればそこまで収益性にこだわる必要もないので、気軽に経営を続けられるメリットもあります。
相続後に放置されている空き家が社会問題化している現在において、手軽に始められる駐車場経営がこれから有効な改善策となるかも知れません。

駐車場経営を成功させるために

最後に、駐車場経営を成功させるためのポイントについて解説します。
始めるハードルが低い駐車場経営ですが、成功するためのポイントを守らないと、収益化できないだけでなく、後々のリスクにつながる可能性もあります。
せっかく始める駐車場経営を成功させるために、ぜひ以下の内容を参考にしてみてください。

市場調査をしっかり行う

駐車場経営だけではありませんが、検討している土地がある周辺の市場調査をしっかり行うことは成功するために最も重要なポイントです。

例えば、駅から近く毎日の通勤に使われそうな場所や駐車場のない住宅が多く、周辺に月極駐車場がないエリアであれば、月極が適しています。
両方のニーズがあるエリアであれば、月極とコインパーキングを組み合わせる選択肢もあります。

事業を始める上で市場調査を行わないことは、出題される範囲が分からない試験を受けるようなものです。
市場ニーズに合った商品やサービスは、高い確率で消費者に受け入れられるので、駐車場経営も同様、市場調査をしっかりした上で事業を始めましょう。

経営計画を立てる

事業を始める前は、資金や収益の面など、経営計画をしっかり立てましょう。
見込める収益を考えて初期費用はいつ回収できるのか、月々のランニングコストはいくらか、損益分岐点となる売上はいくらかなど、細かく計画を立てます。

適切な経営計画は収益性を最大化させるだけでなく、リスクヘッジにもつながるので、はじめの計画は時間をかけてしっかり考えましょう。

法令を遵守する

どのような事業も法令に違反すると長続きしません。
駐車場経営で法令違反はあまり考えにくいかも知れませんが、時代の変化が激しい今、法律も変わっているため、知らないうちに法令に違反している場合もあります。
駐車場経営を事業として行う以上、立派な経営者であるため、法令にも気を配りながら事業を展開していきましょう。

顧客満足度を高める

駐車場経営は市場調査や経営計画を正しく行ってスタートすれば終わりではなく、ビジネスである以上、常に顧客満足度を高める努力は必要です。

日々の清掃によって綺麗に管理することや何か利用上で不便な点はないか探すなど、収益性を上げるための努力は、長く経営を続ける上で大切な要素となります。
努力をして競合に勝てる経営をしていれば、ビジネスは基本的に成功するため、駐車場経営においても顧客満足度を高めることは常に意識することが大切です。