老人ホーム経営の儲かる可能性とは?社会貢献と収益性を実現!
- 更新日:2024.10.09
少子高齢化が進んでいる現在、老人ホームの需要も増加しています。
「需要が増えているので、これから老人ホームを経営すれば儲かるのでは」と考える方もいるでしょう。
本記事では、老人ホーム経営の現状と経営者に求められるスキル、老人ホーム経営で利益を上げるポイント、注意点を紹介します。
この記事を読めば、老人ホーム経営の現状だけでなく老人ホームで利益を上げるポイントや注意点もわかるので、ぜひ参考にしてください。
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老人ホーム経営は儲かるのか?
はじめに、老人ホーム経営の現状や老人ホームの収益構造など、老人ホームを取り巻く環境について解説します。
併せて、老人ホームの経営者に求められるスキルや知識についても紹介するので、参考にしてください。
老人ホームは高齢化社会においてどのようなニーズがあるのか
「自治体別高齢者住宅・施設等の需給予測データ2023年度版」によると、2035年度には、要介護2以上を対象とした包括ケア型の高齢者住宅・施設の供給が約242万人分不足すると予想されています。
また、要介護3以上を対象とした包括ケア型の高齢者住宅・施設の供給は、約88万人分不足する可能性があるという結果になりました。
特に、東京都や大阪府などの都市部における包括ケア住宅の不足は深刻さを増すと予想されています。
一方、2022年度の有料老人ホームの売り上げは前年度と比べて4.7%増加という結果も出ています。
つまり、老人ホームは少なくとも10年以上は需要が伸び続けると考えていいでしょう。
今から新規事業者として老人ホームの経営を始めたとしても、十分利益が出る可能性が高いです。老人ホームは2005年から増加をし続けていますが、未だに飽和状態にはほど遠い状況といえます。
むしろ、独居する高齢者がこれからも増え続けていくため、老人ホームの需要もますます増加していく可能性が高いでしょう。
介護保険制度と老人ホームの収益構造
老人ホームは、以下2つの経営方法があります。
- 運営を専門の業者に委託する
- 自分で老人ホームを経営する
運営を専門の業者に委託する場合、主な収入源は土地や建物の賃貸収入です。
主な経費は、固定資産税や修繕費です。
施設の運営が続いている限り、利用者の増減にかかわらず一定の収入が維持されます。
老人ホームの経営に関する知識も必要ないため、持っている土地を有効活用したい方に適した方法です。
経年によって建物が劣化していけば修繕費が増える可能性もありますが、優良な老人ホームに土地や建物を貸すことができれば、長期にわたって安定した収入を得ることができます。
一方、自分で老人ホームを経営する場合は、利用者の月額利用料と一時入居金などが主な収入源です。
特別な資格は必要ありませんが、経営する老人ホームの種類によっては指定前研修を受ける必要があります。
様々な知識も必要になりますので、気軽に始められるようなものではないことは覚えておきましょう。
後ほどこちらに関しては詳しくご説明いたします。
また、老人ホームには以下のような種類があります。
介護付有料老人ホーム | 介護保険が適用された生活支援サービスや介護サービスを受けられるホーム |
住宅型有料老人ホーム | 必要に応じて外部からの介護サービスを利用できるホーム |
健康型有料老人ホーム | 自立して介護が必要ない高齢者を対象としたホーム |
介護付き有料老人ホームと、住宅型有料老人ホームを経営している場合、食事や入浴、排泄などの身体介護や、洗濯や掃除などの生活支援などに介護保険が利用できます。
また、訪問リハビリも介護保険の利用が可能です。
その一方で、ペットの世話や家事支援・代行や入院の付き添いなどは介護保険が適用されません。
介護保険を利用した介護サービスが利用可能な老人ホームを経営する場合、介護保険が利要できるサービスの範囲をしっかりと理解しておくことが重要です。
経営者として求められるスキルと必要な知識
老人ホームを経営するために、特別な資格は必要ありません。
しかし、介護付き有料老人ホームなど施設内で介護が受けられる老人ホームを開設したい場合は、自治体が行っている介護管理者を対象とした指定前研修を受ける必要があります。
また、老人ホームを経営するにあたって、介護保険に関する法制度・財務会計・リスクマネジメント・コンプライアンス・人材育成など多岐にわたる知識やスキルが必要です。
老人ホームは需要があるからといって、気軽に始められる施設ではありません。
なお、一般社団法人日本介護福祉経営人材教育協会が認定している民間資格、「介護福祉経営士」という資格を取得すると、老人ホームを経営するのに必要な知識が身に付きます。
全く知識や経験がない状態から老人ホームを運営したい場合は、一定の時間をかけて勉強するか、知識や経験が豊富なスタッフを一定数揃えたうえでの開業がおすすめです。
老人ホーム経営のポイント
ここでは、老人ホームを経営する際に抑えておくべきポイントを紹介します。
老人ホームはこれからも需要の増加が見込まれていますが、老人ホームであれば何でもよいわけではありません。
老人ホームを経営する場合は需要とそれを満たすために必要なものをしっかりと把握しましょう。
需要の高いサービス提供
老人ホームには、健康で自立できる高齢者を対象とした老人ホーム、介護が必要な高齢者を対象とした介護付き老人ホームの2種類があります。
また、近年は高齢者向けサービスが付いたバリアフリーの賃貸住宅も、新しい老人ホームの形として認められつつあります。
老人ホームを経営する場合、どのタイプの老人ホームの需要があるか事前調査が重要です。
また、近隣にどのような老人ホームがあるか、事前チェックも必要になります。
需要が高い老人ホームであっても近隣に同様の施設が多ければ、競争が激しくなって共倒れする恐れがあります。
さらに、需要が高い老人ホームのスタイルを経営していけるだけの人材や設備を揃えられるかどうかも判断ポイントです。
例えば、住宅型有料老人ホームの需要があっても、近隣に提携してくれる訪問介護ステーション等がないと開業が難しい場合もあります。
効率的な経営
自分で老人ホームを経営する場合、利用者の月額利用料と一時入居金が主な収入源となります。
一方、支出には人件費・施設の維持管理費・光熱費・食費・施設の固定資産税などです。
丁寧なケアを心がけるためにスタッフを増やせば人件費が高騰し、利益が出なくなる可能性もあります。
また、利益を求めるあまり必要な経費を削りすぎてもサービスが悪くなり、利用者が減る恐れもあります。
老人ホームは数十年ほど需要増が見込めますが、都市部では近場に複数の施設があるところも多いので、サービスが悪い施設は敬遠されがちです。
老人ホームの経営は専門的な知識が必要なので、別途コンサルタントにサポートしてもらったり、実績がある専門業者に依頼したりするのも効率的な経営をする1つの方法です。
法令遵守
老人ホームを経営するうえで、守らなければならない法律は以下の2つです。
- 老人福祉法
- 介護保険法
老人福祉法とは、高齢者福祉を管轄する施設、機関、事業を運営するうえでのルールを定めた法律です。
老人ホームも老人福祉法にそって運営することが求められます。
介護保険法とは、介護保険制度のルールを定めた法律です。
介護保険を利用したサービスを受けられる老人ホームを運営する場合は、介護保険法に関する知識も必要です。
法令を遵守していないと、最悪の場合は経営する施設の運営停止が求められる恐れがあります。
最新情報の確認
老人ホームの種類や需要は、常に変化しています。近年は、プライバシーを確保しつつ必要な介護サービスが受けられるバリアフリーの賃貸住宅と、介護付き老人ホームが隣接している施設も出てきました。
自立しているときはバリアフリーの賃貸住宅に住み、介護が必要になったら老人ホームに移れるようにしておけば、「要介護になって居住先がなくなった」とならずにすみます。
地域の需要や老人ホームの種類は常に最新情報をチェックしておき、ニーズに応えられるようにしておくと、長期安定した経営ができる可能性が高まります。
老人ホームの種類
老人ホームには公的施設と民営施設の2つがあります。ここでは、それぞれの施設の特徴やそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。
土地や建物を委託して老人ホームを経営してもらったり、自分で老人ホームを経営したりする場合は、すべて民間施設です。
しかし、公的施設が近くにある場合は競争相手になるケースもあるでしょう。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握しておくと運営に役立ちます。
公的施設
公的施設とは、国や地方公共団体、社会福祉法人など行政機関が管轄を行う介護施設の総称です。
一時入居金や月額利用料が民間施設に比べて抑えられており、経済状況によっては補助を受けられる場合があります。
公的施設として運営されている介護施設には、以下のようなものがあります。
施設名 | 特徴 |
特別養護老人ホーム |
|
介護老人保健施設 |
|
ケアハウス |
|
養護老人ホーム |
|
公的施設も民間施設と同様に、心身の状態によって入れる施設が決まっています。
公的施設の場合、介護者がいないなど緊急性が高い高齢者や、経済的に困難を抱えている方、要介護度の高い方が優先して入所できます。
そのため、申し込みが早ければ入居できるわけではありません。
施設によっては長い順番待ちが発生している場合もあります。
民間施設
民間施設は、その名の通り民間の業者が運営している高齢者向けの施設です。
施設の種類は、大きく分けて以下の3種類があります。
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- グループホーム
有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅に付いては前述した通りです。
グループホームとは、主に軽度の認知症の方が集団で生活するホームです。
認知症は人によって症状が異なり、食事や排泄などはまだ自立していられるが買い物や家事などは不可能だったり、徘徊をして常に付き添いが必要だったりする方もいます。
グループホームは、そんな認知症の方が地域で暮らせるようにサポートする施設です。
基本的に地域密着型のため、遠方の施設には入所できません。
公的施設のメリット・デメリット
公的施設最大のメリットは、利用費用が抑えられることです。
貯蓄が少ない方や、主な収入が年金だけといった方も利用できます。
その一方で、利用条件が厳しかったり場所によっては入所待ちの方が多かったりするのがデメリットです。
このほか、民間の施設に比べると利用できるサービスが限られている場合もあります。
そのため、地域によって公的施設が利用しやすいところもあれば、独居していて親族のサポートも受けにくい高齢者しか入れないといったところもあるなど、差が激しいです。
民間施設のメリット・デメリット
民間施設のメリットは、施設に空きがあればすぐに入所できることや手厚いサービスなどが挙げられます。
自立型の老人ホームの中には、ホテル並のサービスが受けられるところもあり、富裕層に人気です。
このほか、細かいサービスにも応じてくれる施設もあるので、希望や要望が受け入れてもらいやすいのもメリットです。
一方、デメリットとしては利用費用が高いことや、倒産のリスクが挙げられます。
施設によっては、一時入居金と月々の費用で数百万~数千万の費用がかかる施設もあります。
「入りたい施設があったが、経済的に無理だった」といった経験がある方もいるでしょう。
また、民間施設の場合は倒産のリスクもあります。
自宅を処分して老人ホームに入ったのに経営会社が倒産し、利用を約束させたサービスが受けられなかったといったケースもあります。
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老人ホームを経営するメリットとは?
ここでは、老人ホームを経営するメリットを以下の4つ紹介します。
有効な土地活用の方法として老人ホームの経営を考えている方は、参考にしてください。
安定した収益性
老人ホームを建設し、信用ある業者に運営を委託すれば長期的に安定した収益を得られます。
一般的な賃貸物件の場合、数ヵ月~1年ごとに空室が発生して長期化する恐れもあります。
しかし、一度老人ホームがオープンしたら数十年は経営が続く可能性が高いです。
定期的な修繕は必要ですが、それを差し引いてもメリットは大きいです。
また、駅から遠かったり周りにコンビニやスーパーがなかったりするなど、賃貸物件を経営するのにマイナス要素がある土地であっても、老人ホームならば問題なく運営することができます。
例えば、郊外の土地があるが賃貸物件には不向きといった場合も老人ホームの運用ならば適している可能性があるでしょう。
社会貢献
ますます高齢化が進む現在、老人ホームの需要は増えこそすれ減少することは考えにくいです。
また、老人ホームの経営は社会貢献にも繋がります。
近年は核家族化が進み、家族で高齢者を介護する従来の方法が難しくなる家が増えました。
生涯独身で過ごし、配偶者や子どもがいない方も珍しくありません。
そのような方々が最後まで尊厳を保ちつつ暮らすためにも老人ホームは必要です。
老人ホームが少ない地域や、需要が多い地域で老人ホームを運営すれば、収益性が見込めるだけでなく地域が活性化したりより地域で暮らしやすくなったりする可能性も期待できます。
人材育成
老人ホームは、人材育成の場としても役に立ちます。
介護業界は慢性的な人手不足に悩まされています。
人材の入れ替わりが激しいとサービスの低下にも繋がるため、人材を確保して定着させるための環境整備が必須です。
やりがいはもちろんですが、福利厚生の充実やモチベーションを保ち続けられる賃金、業務のバランス調整などをしっかりと行いましょう。
また、施設内のコミュニケーションを充実させ、意見が言い合える環境を作ることも重要です。
このような施設が作ることができれば、人材育成にも役立つ施設になるでしょう。
働きやすい職場であれば、余所から転職を希望する人も増えます。
地域の雇用の受け皿になれる可能性もあります。
税制上の優遇措置
老人ホームの建設には、自治体によっては補助金が出るところもあります。
補助金の額や支給される条件は自治体によって異なりますが、数百万円~数千万円の補助が出る可能性もあるでしょう。
一般的な賃貸アパートやマンションなどを建てるより建築費が抑えられる可能性があります。
ただし、自治体によっては税制上の優遇措置が受けられない場合があります。
老人ホームの建設を検討している場合は、事前に税制上の優遇措置や建設する際の補助金が受けられるかどうか確認してみましょう。
同業他社の参入が少ない
老人ホームのうち、介護付き老人ホームは総量規制対象施設です。
総量規制対象施設とは、自治体によって施設の数が決まっていることです。
また、総量規制がない老人ホームの場合でも、すぐに新しい施設がいくつもできるケースは少ないでしょう。
そのため、すでにいくつも老人ホームがある地域に新しい施設を作る以外は、同業他社と競争にはなりにくい傾向です。
サービスの内容などで差別化を図れば、同業他社とも過度の競争にはなりにくいでしょう。
老人ホームを経営する際の注意点やリスクとは?
ここまでで、老人ホームの運営はとても魅力的なことがお分かりになったかと思います。
ただ、メリットばかりではなく注意点やリスクも存在します。しっかり理解した上で経営をスタートするようにしましょう。
経営環境の変化
社会情勢の変化などにより、老人ホームの経営環境が悪化する可能性があります。
例えば、経営を始めた直後は順調に利益が上がったが、数年して新しい老人ホームができた結果、新規入居者が減るといったケースもあります。
また、入居者同士のトラブルなどが発生した結果、悪い噂が広まったり退所者が続いたりする場合もあるでしょう。
特に、マイナスの情報が広まってしまうと、収束するまでに長い時間がかかるかもしれません。
このほか、近年は物価上昇によって利用料だけでは食費や光熱費が赤字になってしまうといった施設もあります。
物価が上がっても、利用料をすぐに上げられる施設はわずかです。
老人ホームを順調に経営していくならば、あらゆるリスクを想定してそれに備えられる体制を調えておくことが重要です。
委託する事業者が見つからない場合もある
自分で老人ホームを運営しない場合、委託する業者を探す必要があります。
地域によっては、委託できる業者がなかなか見つからない場合もあるでしょう。
また、委託して欲しいという業者が出てきても、評判が今ひとつであったり実績がなかったりする場合もあります。
老人ホームの建設を手掛けるデベロッパーや建築会社、コンサルティング会社など、頼れる業者はできるだけ利用して業者探しをすることが大切です。
人材不足
老人ホームの経営がうまくいかなくなる最大の原因は人材不足です。
有料老人ホームや介護施設の場合、高齢者何人につき介護者何人と定員が決められています。
つまり、介護スタッフが十分に集まらないと部屋に空きがあっても定員が増やせません。
人材不足を解消するには、賃金を上げるのはもちろんのこと働きやすい環境を整えることが大切です。
また、スタッフ間のコミュニケーションがスムーズに取れるようにしておけば、問題が起こっても解決しやすいでしょう。
なお、働きやすい環境を整えていても、どうしてもスタッフが退職してしまう場合もあります。
常に新しいスタッフを雇えるような準備も整えておくことが大切です。
資金繰りの悪化
老人ホームを建物から建築して運営する場合、建築費用を変換しながらの運営になります。
思ったように入居者が集まらなかったり、光熱費や食費が上がったりして資金繰りが悪化する可能性もあるでしょう。
また、経年劣化によって施設の大規模な修理が必要になったり、天災等で施設が破損したりする可能性もあります。
このほか、地方で老人ホームを経営している場合、過疎化が進んで入居者が減って経営がなりたたなくなるケースもあります。
他の業種への転用が難しい
老人ホームの経営がうまくいかなくなった場合、建物などを他の業種に転用して運営していけば、建設費用などを返していけます。
しかし、老人ホームの建物はほかの業種への転換が難しいのがデメリットです。
病院や同じ介護施設など限られた施設に転用できればよいのですが、難しい場合は大規模なリフォームが必要です。
また、郊外にあって周りに住宅やほかの商業施設がない場合なども転用が難しい可能性があります。
まとめ
本記事では、老人ホームを経営するメリットや注意点などを紹介しました。老人ホームは高齢化が進む現在、高い需要が見込まれる施設です。
また、一度優良な業者が委託を引き受けてくれれば長期にわたって収益が見込めるでしょう。
その一方で、入居者が見つからないなど経営がうまくいかないと他の施設への転用が難しいなどのデメリットもあります。
老人ホームの経営や経営委託を考えている場合は、地域の需要などもしっかりとリサーチしたうえで決断してください。
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