100坪の土地におけるアパート建築費の相場は？費用の内訳や費用を抑える方法について解説！

100坪の土地におけるアパート建築費用相場はいくらくらい？

まず、本題である100坪の土地におけるアパートの建築費用について解説します。
100坪の土地に容積率100%でアパートを建築した場合、木造の場合は7,500万円～1億円が相場になります。

※容積率とは、敷地面積に対する建築延べ面積の割合のことです。

建築費用は、建物の延床面積1坪あたりいくらで建築できるかの「坪単価」×「坪数」で算出されます。

例えば、延べ床面積100坪の建物を坪単価100万円で建てられるのであれば、
100坪×100万円=1億円が建築費用となります。

構造別の坪単価と建築費相場

ここでは、構造別の坪単価と延床面積100坪を想定した場合の建築費用の概算をご紹介します。

構造とは、建物を支えるための骨組みのことです。用いられる建材によって種類が分けられており、金額もそれぞれ異なります。

基本的に、延床面積が広くなるほど建築効率が高くなる分建築費は割安になることが多いです。また、建築依頼をするハウスメーカーや工務店によっても建築費は異なります。

上記は賃貸住宅によく用いられる構造ですが、中でも2～3階建てのアパートには木造か軽量鉄骨造がよく採用されます。

それぞれの構造別の特徴やメリット・デメリットについては後ほどご説明します。

アパート建築費用の内訳

アパート建築では、建物の建築に加えて外構など付随する工事費やその他諸費用もかかってきます。
ここではアパート建築費用の内訳をご紹介します。

本体工事費

本体工事費は、建物の骨組みや内装、設備などを整えるための費用で、いわゆる建物の本体を作るための費用です。

この費用は、アパート建築全体の費用のおよそ8割を占めることが多く、例えば総額が8,000万円のアパートであれば、約6,400万円が本体工事費となります。
しかし、会社によって本体工事費に含まれるものが異なるため、契約前に必ず詳細な見積もりを確認しましょう。

付帯工事費

付帯工事とは、外構工事や土地の地盤改良工事、造成工事など、建物本体以外で必要となる工事のことです。
具体的には、以下のような工事が該当します。

• 外構工事（庭、フェンス、植栽、駐車場など）
• 地盤改良工事　※地盤調査含む
• 土地造成工事
• インフラ整備（水道管・ガス管、電線引き込み、メーター設置）
• 仮設工事（水盛り・やり方、養生など）

付帯工事費は、土地面積の広さやライフラインの整備状況によって変わりますが、おおむね本体工事費の15%～20%かかるのが一般的です。

そのため全体の建築費用が8,000万円の場合は本体工事費が6,400万円、付帯工事費は960万円～1,280万円程度となります。

ファミリー層向けのアパートで駐車場の整備が必要など、工事内容が多くなるほど費用は高くなります。

単身向けアパートなどで駐車場を設置しない場合、外構部分はお金を生まないスペースであるたため、最低限の工事で安く抑えることがポイントです。

その他諸費用

その他諸費用とは、アパート建築の際に建物本体や外構工事以外の部分にかかる費用のことです。例えば、銀行からお金を借りる際の事務手数料や、建物を建てることを確認するための申請費用などが含まれます。

一般的に、本体工事費の10%程度が、その他諸費用として必要になると考えられています。つまり、8,000万円のアパートを建てる場合、本体工事費が6,400万円、その他諸費用が640万円程度となります。

具体的にどのような費用がかかるのか詳しく見ていきましょう。

＜建築確認申請書＞
建築確認申請書は、家を建てる前にその家が法律にきちんと従って建てられているか（＝建築基準方等に適合しているか）を確認するための手続きにかかる費用です。この手続きは、安全な家を建てるために必ず必要です。以下の費用が含まれます。

・確認審査申請手数料
・建築士の報酬
・検査費用

＜設計費＞

設計費は、建築士が建物の設計図を作成する際に支払う費用です。
アパート建築では、設計と施工を同じ会社に依頼する「設計施工一括方式」と、設計と施工を別の会社に依頼する「設計施工分離方式」があります。
設計施工一括方式は、費用が安く、工期も短く、品質が安定していることが多くおすすめです。

ハウスメーカーであれば、建築士が豊富に在籍しているため一括方式で比較的、安価に依頼することができます。さらに大手であれば保障面も充実しているため、引き渡しが終わった後も安心です。

＜監理費＞

監理費とは、アパート建設において建物が設計図どおりに、そして建築基準法等の法律にきちんと従って建てられているかを確認するために専門家が関わる費用です。

建築現場の監督役として工事が順調に進んでいるか、品質に問題がないかなどをチェックしてもらうための費用とも言えます。

監理業務には、具体的に以下のような仕事が含まれます。

・工事の進捗管理：工事のスケジュール通りに進んでいるか、遅延がないかなどを確認します。
・品質管理：使用されている材料が設計図に合っているか、施工方法が正しいかなどをチェックします。
・安全管理：工事現場で事故が起こらないよう、安全対策が適切に行われているかを確認します。
・法規制の遵守：建築基準法などの法律に違反する部分がないかを確認します。
・書類作成：工事の記録や報告書の作成などを行います。

それぞれの構造別のメリット・デメリット

先に坪単価に関して解説したアパートの構造に関して、それぞれの特徴やメリットデメリットに関してご紹介します。
アパートを建築する際の参考にしてみてください。

木造

＜メリット＞
・建築費用を抑えることができる
・家賃を抑えやすい
・デッドスペースが少ない

木造アパートのメリットはなんといっても材質のコストの低さです。建築費用を抑えられることで、鉄骨造の建物よりも家賃・管理費を安く設定できます。木造アパートは他の工法と比べて建築コストを抑えやすく、広さや設備などの条件に恵まれていても比較的安く管理できるため、入居者にとってはありがたいでしょう。

また、木造は鉄骨造や鉄筋コンクリートと違い、柱や梁を見せずに済むため、その分室内の空間をきれいに確保できます。つまり、家具を置きたい場所に置けるためデッドスペースが少なくなりやすいです。

＜デメリット＞
・防音性が低い
・気密性が低い
・法定耐用年数が短い

木材は鉄骨やコンクリートに比べて軽いため、足音などの影響を受けやすくなります。また、壁が薄く音を通しやすい材質のため、隣の部屋の話し声や生活音が聞こえてくる場合もあるでしょう。

また、木造は壁の内部に空洞部分が多く、気密性が低くなりがちです。気密性の低さは冷暖房の効率に影響するため、電気代が上がる可能性もあります。

軽量鉄骨造

＜メリット＞
・木造住宅に比べて耐震性・耐久性に優れている
・品質が安定している
・工事期間が短い

軽量鉄骨造とは、鋼材の厚みが6mm未満の鉄骨造のことです。

軽量鉄骨造の建物は地震の力を吸収しやすく、軽量のため振動による建物への影響が小さいという特徴があります。建築費は比較的安く、耐震性も高いため、コストパフォーマンスはかなり高いといえるでしょう。

また、建築資材を工場で作って現場に運んでから組み立てるため工事期間としては短くなる点も強みです。

＜デメリット＞
・耐火性が低い
・調湿・吸湿性能がない
・通気性や断熱性が低い

軽量鉄骨造のアパートは、一定の温度までは耐えられますが、限界を超えると鋼材が曲がり折れてしまうことで倒壊のリスクがあります。耐火被履材で耐火性能を強化することで防ぐことができます。また、鋼材に調湿・吸湿性能がないため、室内の温度や湿度が外気からの影響を受けやすいです。

木造に比べると通気性や断熱性は多少劣ります。夏は暑く冬は寒くなりがちなため、断熱性を高めるための対策が必要になります。

重量鉄骨造

＜メリット＞
・防音性に優れている
・耐震性に優れている
・間取りの自由度が高い

重量鉄骨造とは、鋼材の厚みが6mm以上の鉄骨造のことです。

重量鉄骨造は柱が太いため壁も厚くなります。軽量鉄骨造の柱と比べても2倍以上にもなります。そのため厚い壁が音の緩衝材として防音性が増しています。それにより耐震性も圧倒的に高くなります。

軽量鉄骨造のように熱によって鋼材が曲がって折れてしまうということはまずありません。

また、柱や梁が太く、少ない本数で建築できるため、広い空間を作りやすいことが特徴です。

＜デメリット＞
・建築費用が高くなる
・通気性や断熱性が低い
・遮音性が低い

重量鉄骨造の鋼材は、生産や組み立てにかかるコストが高く、坪単価も高くなりがちです。
また木造と比較すると鋼材の熱伝導率が高いため、外気の影響を受けやすく、断熱性が劣ってしまいます。柱も太いため、通気性も低いです。

日本建築学会が提示した指標によると、重量鉄骨造の遮音性能は「L-60」で、足音やドアの開閉音・振動を伴う音が聞こえ、上下に音が響きやすい傾向にあります。

鉄筋コンクリート造（RC造）

＜メリット＞
・耐火性、耐震性、防音性、気密性、耐風性、耐水性に優れている
・長期的に安定した収入が得られる可能性がある

鉄筋コンクリート造（以下RC造）は、鉄筋を組んでコンクリートを流し込む構造のため、上記のような特徴があります。コンクリートは重量があるため、木造よりも地震などの災害に強く、燃えにくいことから耐火性にも優れています。

また、RC造は他の構造に比べて法定耐用年数が47年と長いため（木造：22年、鉄骨造：19年～34年）、長期的に安定した収入が得られる可能性があります。

＜デメリット＞
・建築費が高騰になる
・解体時の費用がかかりやすい
・地盤に負担がかかる

RC造は木造や鉄骨造と比較して材料費が高くなるため、建築費が高くなります。
国土交通省の調査によると、鉄骨造の坪単価が85.8万円に対してRC造は89.1万円となっています。

参照：国土交通省

RC造は丈夫な構造のため、解体時にも手間がかかります。また建物自体が重くなるため、強固な地盤が必要になり、負担もかかりやすいです。

100坪の土地におけるアパートの間取りや部屋数はどのくらい？

100坪の土地におけるアパートの部屋数は、部屋の間取り設計や土地の建築規制によって都度異なります。

一般的な例を挙げると、3階建ての場合、1Kや1LDKタイプの部屋を想定した場合、およそ15～25部屋程度になります。
2階建ての場合は、3階建てと比べて総床面積が減少するため部屋数も少なくなります。同じく1Kや1LDKタイプの部屋を想定すると、およそ10～15部屋程度になるかと思います。

1LDKや2DKなど、より広い間取りにする場合は、部屋数はさらに減少します。

もちろん、各部屋の広さや共用スペースの設計、駐車場の必要台数などによって変動する可能性があります。

100坪の土地におけるアパートの建築費用を抑える方法

ここでは、100坪の土地に建てるアパートの建築費用を可能な限り抑える方法をご紹介します。

設計施工一貫方式を選択する

アパート建設の際、工事を発注するにあたっては、ハウスメーカーが行っている設計施工一貫方式を選択することをお勧めします。

設計施工一貫方式とは、設計から施工までの全プロセスをハウスメーカーが一手に引き受ける方式を指します。

設計を設計事務所に、施工を建設会社に別々に依頼する「設計施工分離方式」も存在しますが、この場合設計料が高額になるケースがほとんどです。

設計料は通常設計施工一貫方式の場合、総工事費の1～3%、設計施工分離方式の場合は総工事費の5～8%程度を占めることが多いです。
したがって、設計施工一貫方式を選択することでアパート建築費を抑制できます。

最近では「ワンストップサービス」という用語をよく耳にしますが、これは設計施工一貫方式と同様に、建築プランの作成から設計・施工・管理・完成に至るまでの全工程を一括して提供するサービスを指します。

メーカーの公式サイトを確認すれば、ワンストップサービスの対応の有無が記載されているはずですので、必ず確認するようにしましょう。

設計に工夫を凝らす

建物の設計にうまく工夫を凝らすことで建築費用を抑えることができます。

複雑な形状や曲線の多い形よりもシンプルな直方体や長方形の方が余計な壁面を使わず、建築費用が低く設定されています。

そのため、アパートを建築する際はシンプルな形状を意識して設計や間取りを作成することをお勧めします。
メーカーに依頼する際も設計面での希望をしっかり伝えるようにしましょう。

施工会社は複数の建築プランを比較検討して選定する

アパート建築を検討する際は、複数の建築プランを比較検討して選定するようにしましょう。

建築プランは、間取り、設備、工法、建築費、諸費用、補助金情報、家賃設定など、あなたの所有する土地に適したアパート経営のプラン（シミュレーション含む）が網羅されているのでしょう。

メーカーごとに得意分野や価格が異なるため、様々なプランを知ることができます。そうすることで、自分のアパート経営に対するイメージが確立されてきて、実際に建築して経営をスタートしたときのことを想像できるようになるでしょう。

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