アパート建築費2,000万円で建てられる物件とは？費用を抑えながら収益性を追求する方法

2,000万円で建てられるアパートの規模

はじめに、2,000万円で建てられるアパートの構造や規模を解説します。アパートは一棟に複数の部屋を作るため、戸建て住宅より床面積が必要です。2,000万円は、アパートの建築費用としては少額のため、構造や階数、設備にも工夫が必要です。費用を抑えて使い勝手の良いアパートを建てるポイントも紹介するので、参考にしてください。

構造

アパートの構造には、木造・軽量鉄骨造・重量鉄骨造・鉄筋コンクリートなどの種類があります。建築費用2,000万円でアパートを建築する場合、構造は木造か軽量鉄骨造の2択です。
木造のアパートは通気性が良く、天井や壁に梁や柱の凹凸が生じないため部屋を広く使えるといったメリットがあります。また、メンテナンス費用や維持費も抑えられるので、アパートを運用していくときも費用を抑えられるのもメリットです。
一方、木造住宅は遮音性、断熱性が低く冷暖房が効きにくかったり騒音問題が発生しやすくなったりするデメリットもあります。

軽量鉄骨造は、木造に比べると遮音性と耐震性に優れているのがメリットです。例えば、交通量の多い道路に面してマンションを建てる場合、隣室だけでなく屋外からの音も気になるでしょう。軽量鉄骨造ならば、木造よりも外からの音が気にならないアパートが建てられます。
その一方で、結露が生じやすく通気性が木造アパートより低いのがデメリットです。また、断熱性も決して高くないため、木造同様冷暖房が効きにくいのも挙げられます。

木造か軽量鉄骨かで迷ったら、建築する場所がどちらの構造のほうがメリットを活かせるか考えて決めてください。
また、現在のアパートは鉄骨造が主流です。鉄骨造のほうがデザインのバリエーションが多い可能性もあります。
ただし、木造物件もシンプルなデザインの物件を建てるには十分です。

階数

建築費用2,000万円で建てられるアパートの階数は平屋か2階建てです。平屋のアパートとは大きな平屋を2つに区切ったような形をしており、ファミリー向けの2LDK程度の間取りのものが多いです。2階建てのアパートはごく一般的な低層アパートで、単身向けから2人暮らし向けまで、複数の種類があります。

平屋のアパートは階段を上り下りする必要がないため、高齢者も暮らしやすいのがメリットです。また、階下に足音が響かないため、小さい子どもを持つファミリーも暮らしやすいでしょう。
その一方で、平屋のアパートは部屋数が取れません。同じ建坪ならば2階建てで単身者向けにしたほうが収益を上げやすいでしょう。
階数に迷っている場合は、アパートを建てる地域の需要を調査したうえで決断するのがおすすめです。単身向けのアパートのほうが需要の高い場合は、2階建てが適しています。一方、ファミリー向けの賃貸物件のほうが需要の高い場合は、平屋建てアパートを作り子育てしやすい環境を整えれば、安定した収益を上がられる可能性があります。

なお、3階以上の階数を作る場合は、2,000万円の予算は厳しいでしょう。設備を削って3階建てのアパートを建てるならば、設備を充実させた2階建ての物件を作ったほうが収益を上げやすいでしょう。

延床面積

2,000万円の建築費で建てられるアパートの延べ床面積は、10～25坪前後となります。木造の建築費用が1坪70万円～110万円、軽量鉄骨造は1坪80万～110万円が相場です。

例えば、坪70万円で建てた場合、最大で28坪のマンションが建ちます。軽量鉄骨の場合は80万円で計算すると25坪です。都会の駅近など利便性の良い場所ならば、25坪程度のマンションは珍しくありません。地方だとやや狭苦しく感じられるでしょう。

坪数を少なくすれば、その分設備に費用をかけられる場合もあります。アパートの狭さはデメリットにもありますが、駐車場を1台無料で付けるなど付加価値を高めればデメリットが気にならなくなります。

なお、延べ床面積が少なければ無理にファミリー向けにしないほうが需要が高くなるでしょう。

間取り

建築費用2,000万円のマンションの間取りは、1R～1Kが一般的です。ファミリータイプのマンションにしたい場合は最も広くて2DK～2LDKとなります。ただし、2DK以上だと部屋数は2つが限界です。
収益を考えた場合は1Rや1Kのほうが適しています。25坪2階建ての場合、1Rが4部屋前後となるでしょう。また、1Kの場合は廊下を幅広くしてキッチン設備も大きなものを取り付ければ2人で住める可能性もあります。

部屋数が5室以下だとまとまった収益は挙げにくいですが管理がその分楽になります。その一方で、1室でも空き室になれば影響が大きくなりがちです。例えば、大学や大きな会社の近くなど、独身向けアパートの需要が高い場所ならば、小規模なアパートでも利益を上げやすいでしょう。また、駅が近いなど立地条件が良い場所も、需要が高めです。

設備

建築費2,000万円で建てられるアパートに設置できる設備は、シンプルなものです。例えばお風呂ならば、シャワーと浴槽だけのもので、追い焚き機能が付けられるかは微妙です。最新設備など値段が高い場合は、追い焚き機能は付けられない可能性があります。

賃貸物件の場合、そこまで高機能な設備は求められないケースが多いです。特に単身者の場合は、寝室としての機能が満たされていれば問題ないと感じる方もいるでしょう。設備はシンプルなほうが、管理も交換も簡単です。
ただし、周囲に設備が充実したアパートができると、需要が低くなる恐れもあるでしょう。
駐車場や庭などお金のかからない付加価値をつけると、需要が高まります。

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2,000万円で建てられるアパートの費用内訳

ここでは、建築費用2,000万円で建てられるアパートの費用内訳を紹介します。費用の内訳は建てるアパートの種類によって微妙に異なりますが、目安を知っておくだけでも参考になります。

本体工事費

本体工事費とは、建物の基礎工事・建築工事、外装・内装の仕上げ工事など、アパート本体を建てるのに必要な工事です。建築費用という場合、本体工事そのものを指すケースが一般的です。つまり、建築費2,000万円というと、付帯工事費・諸費用・設計費を除く費用となる場合もあるでしょう。

本体工事費だけで、アパートの建築費用をほとんど賄える場合もあれば、付帯工事費用や諸費用が数百万円単位でかかる場合もあります。
依頼する建築会社に見積もりを出してもらい。本体工事費以外にどのくらい費用がかかるかも確認しましょう。なお、本体工事費以外の費用は「本体工事費の何％」といった算出農法をすることが一般的です。

付帯工事費

付帯工事費とは、以下のような工事費用が該当します。

• 土地の整地費用や造成費
• 地盤改良工事費用
• 給排水設備工事
• 電気・ガスの引き込み工事
• 庭や塀、門などの外構工事

土地は、そのままでは建物を建てられません。アパートを建てる場合、一戸建てよりもしっかりと土地の整備を行わないと地盤沈下などの不具合を起こす可能性があります。また、土地の改良工事を行ってしっかりとした地盤を作れば、耐震性も高まります。

また、初めて土地に建物を建てる場合、給排水設備や電気・ガスの引込工事も必要です。
土地の改良工事費にかかる費用をできるだけ抑えたい場合は、以前マンションやアパートなどが建っていた土地を利用するといいでしょう。土地整備も行われており、給排水設備も整っています。

また、庭・塀・門などの外構工事をシンプルなものにすれば、付帯工事費を抑えられる場合があります。予算がオーバーしがちな場合は、早めに工務店やエクステリア業者に相談してください。
付帯工事費は本体工事の20％前後が目安です。2,000万円が本体工事費用ならば、付帯工事費は400万円が相場となります。これを超えないように見積もりを出してもらいましょう。

諸費用

諸費用とは、アパートを建てる際に発生する税金や事務手数料の総称です。一例を挙げると以下のような費用が該当します。

• 登記費用
• 不動産取得税
• 各種保険料
• アパートローンの事務手数料

税率はすでに決められているため、費用を大幅に下げることはできません。節約できるとしたら、アパートローンの事務手数料くらいです。本体価格の約10％が目安と考えましょう。 2,000万円のアパートの場合は、200万円です。付帯工事費と合わせれば約600万円です。

設計費

設計費は、アパートを建てる際に建築士にアパートの設計を依頼した際にかかる費用です。工事費用の10～15％が相場です。自分で建築士を見つけて依頼した場合、おおよそ200～300万円がかかる計算です。

建築費用を抑えたい場合は、マンションやアパートの設計から建築までを請け負っている会社に依頼するといいでしょう。なお、複雑かつ個性的なデザインにしたり、高名な建築士やデザイナーに設計を依頼すると費用は高めになります。
高名な建築士に設計を依頼した場合「デザイナーズ物件」となり、建物の付加価値をアップできます。実際、おしゃれな物件は若い年代を中心に人気があります。
しかし、デザイナーズ物件が必ずしも住みやすいとは限りません。できるだけ設計費用を抑えたい場合は、シンプルなデザインにしてもらいましょう。

2,000万円でアパートを建築する際の自己資金はどのくらい必要？

建築費用2,000万円のアパートを建築する場合、付帯費用などすべての諸費用を含めた総額は、約3000万円になります。自己資金ですべて賄うのは難しいでしょう。投資用のアパートを建築する際は、アパートローンを利用できます。自分が居住する住宅ローンよりも利率は高めですが、一般的なフリーローンに比べると利率は低めです。

しかし、住宅ローンのように頭金ゼロで利用することは難しいでしょう。ここでは、アパートを建築する際に必要な自己資金の額を解説します。

建設費総額に対する自己資金の割合

自己資金の割合の目安は、建築費用の10～30％といわれています。建築費用が2,000万円の場合は200万～600万円、付帯費用をはじめとする諸費用もすべて含めた場合、300万～900万円前後です。

自己資金を多く用意するほど信用度は高くなり、アパートローンの審査に通りやすくなるでしょう。例えば、同じ年収の場合なら頭金200万円よりも900万円のほうがローンの審査は緩くなる傾向です。投資用物件は、居住用のローンに比べて利率も高く設定されています。「返済能力がない」と判断されてしまえば、必要な費用を借りられなくなってしまいます。自己資金はできるだけ多く用意しましょう。

残りはアパートローンで

前述したように、投資用物件を建てる際に利用できるローンは「アパートローン」もしくは「投資用物件ローン」です。住宅ローン同様に、年収の10～20倍という高額の融資を受けられます。これは、土地や建物を担保としているためです。支払いが滞った場合、建物や土地はローンを組んだ金融機関に差し押さえられてしまいます。したがって、確実に返済できる額をよく計算して組みましょう。

なお、物件の一部に自分達が入居して残りを賃貸に出すといった一部の例外を除いて、住宅ローンを利用して投資用の物件を建てることはできません。不動産会社の中には、住宅ローンの利用をすすめてくるケースもありますが、投資用物件であるとわかれば一括返済を求められます。
アパートローンは、多くの金融機関が取り扱っています。住宅ローンを借りている金融機関があり、返済が順調ならば追加融資も可能な場合もあるでしょう。

投資用物件を対象としたローンと一般的な住宅ローンの違いは、物件の収益性も審査の対象になる点です。例えば、同じ坪数で同じ間取り、同じ建築費用の物件でも地方都市の郊外と東京や大阪といった都市部の駅近の物件ならば、後者のほうが高い収益性が見込めます。
そのため、融資額の増加ものぞめるでしょう。また、前述したように自己資金を多めに用意したほうが、資金力があるとみなされて、融資額の増額が認められたり速効で審査が通ったりします。

融資を申し込む金融機関が見つからない場合は、不動産業者が紹介してくれるので相談してみましょう。また、1か所の金融機関で融資の審査に通らなくても別の金融機関なら通る可能性があります。複数の金融機関に審査を依頼しましょう。

2,000万円でアパートを建てる際のポイントは？

建築費用2,000万円は、アパート建築費用としては低めです。豪華な設備や高い耐震性、遮音性、断熱性などでアパートの付加価値を高めるのは難しいでしょう。その一方で、建築費用が抑えられえた分、家賃を抑えやすいなどメリットもあります。

ここでは、収益性が高いアパートを建てるポイントを5つ紹介します。

収益性の高い立地を選ぶ

投資用の物件を建てる場合、第一に考えるのは収益性です。「親から相続した土地を活用したい」といった一部の例外を除いて、収益性の高い立地を選びましょう。例えば、駅が近い、大学や大企業など常に住宅に一定の需要がある場所などが挙げられます。また、大型商業施設が誕生するなどして、生活の利便性が格段に高まった場合も高い収益性が見込めます。

現在、すでに収益性が高い土地は価格も高く競争も激しいといったデメリットもあります。
似たような物件が多く近隣にある場合、新築のときは「新しい」という付加価値で需要が高められますが、築年数が経てば付加価値はなくなってしまいます。

将来的に収益性が高くなりそうな立地を選ぶには、情報収集が重要です。アパートは一棟建築すれば、20～30年は収益が見込める可能性があります。時間をかけて情報収集をおこないましょう。

構造は木造がおすすめ

2,000万円の建築費で建てられるアパートには木造のほか、軽量鉄骨造があります。この2つはメリットもデメリットもあり、遮音性が高いことを除いては木造のほうが低層アパートの構造としてはおすすめです。また、メンテナンス費用も木造建築のほうが抑えられます。

その一方で、木造建築は耐震性が低いので建築する土地によっては土地整備に費用がかかる可能性があります。木造建築で2階建ての物件を建てる場合は、土地整備をしっかりとするか、地盤の固い土地を選びましょう。なお、全ての物件で木造建築が適しているとは限りません。構造に迷ったら、まずは建築を依頼する業者に相談するのがおすすめです。さまざまな角度から木造建築と軽量鉄骨物件を比較してメリットの大きいほうを選びましょう。

デザインはなるべくシンプルに

建築費用は2,000万円でマンションを建築する場合、可能な限りデザインはシンプルにしましょう。アパートの中には「デザイナーズ物件」といって、高いデザイン性を強みとしている物件もあります。デザイナーズ物件はおしゃれなので若い年代を中心に人気が高く、家賃を高くしても借手がつきやすいというメリットがあります。

一方、デザイナーズ物件はどうしても建築費用が高くなるので、建築費用が大幅に予算を超えてしまうケースもあるでしょう。したがって、デザインに選択肢はあまりないと考えてください。

シンプルなデザインでアパートを建築すると、以下のようなメリットがあります。

• 幅広い年代が住みやすい
• 設備交換が簡単
• メンテナンスの費用を抑えられる
• 家賃を抑えられる

単身用の物件は、これまで30代までの若年層が利用者の中心でした。しかし、これからは少子高齢化や未婚者の増加により、高齢者の賃借人が増えると予想されています。そのため、若い方向けの物件よりも、幅広い年代に使いやすい物件のほうが需要は高くなる可能性があるでしょう。

また、シンプルなデザインは設備交換やメンテナンスも簡単です。例えば、至急交換が必要な不具合が起こった場合も、互換性がある設備のストックがある業者が多いので、即交換ができます。
シンプルなデザインは他の物件との差別化が図れない、強みがないといったマイナスイメージがありますが、メリットも豊富です。2,000万円の物件ならば、デザインに凝るより都市部ならセキュリティをしっかりする、地方都市ならば駐車場をつけるなどすれば、付加価値も高められます。

設備は必要最低限にかつ節約しすぎないようにする

2,000万円の建築費用でアパートを建築する場合、アパートに設置する設備は最低限に抑えましょう。例えば、カメラ付きインターホン、浴室乾燥機などといった付加価値の高い設備を設置する余裕はありません。キッチン設備もスタンダードかつ、シンプルなものを作りましょう。ガスにするか電気にするかは、周辺の物件に合わせて選ぶのがおすすめです。

1Rや1Kのアパートの場合、求められるのは主に寝室としての機能です。トイレやお風呂、キッチンなどは清潔で使うのに問題ないならば、特にこだわらないといった方が多いでしょう。例えば、部屋の広さを確保するために浴槽をなくしてシャワールームにするだけといった物件もあります。キッチンも、軽い洗い物ができてお湯を沸かせる程度の設備があれば十分なケースもあるでしょう。

ただし、費用を抑えすぎても物件の付加価値がなくなります。住宅設備は、価格によってまったく見た目が異なるものも多いです。物件を内覧したとき、あまりにも住宅設備が安価に見えると、新築であっても「別の物件にしたい」と思う方もいるでしょう。ですから、安くするにも限度があります。一定の付加価値を付けるためにも安すぎる設備も避けてください。

見積もりは複数の業者から

アパートを建築する場合、複数の業者から見積もりを取りましょう。複数の業者から見積もりを取れば、業者の特徴や地域や最新の相場がわかります。見積もりがわかりやすく、かつ説明が丁寧な業者ならば、安心して工事を任せられるでしょう。

なお、他の業者と比べて高すぎる業者はもちろんのこと、安すぎる建築業者も利用しないほうがいいでしょう。他社と比べてあまりにも安い業者は、見積もりがいいかげんか、加算前提で見積もりを作成している可能性があります。なぜ、費用が安いか質問をして明確で納得できる答えが得られないなら、利用しないほうがいいでしょう。

また、見積もりは価格交渉をする際の武器にもなります。「こちらの業者はいくらでやってくれる」と見積書を見せて交渉すれば、値引きに応じてくれる可能性もあるでしょう。なお、相見積もりはアパートを建てる際は一般的に行われます。建築業者も相見積もりを推奨しているところも多いので、遠慮なく行って大丈夫です。