古民家リノベーションの費用相場は？
費用を安く抑える方法まで解説！

古民家リノベーションの種類

はじめに、古民家リノベーションの種類について解説していきます。

設備の入れ替えや補修をメインとした一般的な改装

一般的な改装では、古民家の歴史的価値を損なわないようにしつつ、現代の生活に適した快適さを提供することを目指します。

水回りの設備や外壁、屋根、床などの劣化している部分に重点を置き、修理や交換をおこなうことで、古民家の機能性を高めつつ、長く住むための基盤を固めます。

部分的に解体する改装

部分的に解体した後に行う改装では、壁や床、屋根などの一部を外して、柱や梁のズレを直し、建物の傾きや床の沈みを改修します。

古い造りの部分には、耐久性や機能性に優れた最新の素材を用いて改修し、長く利用できる建物にすることを目指すことで、全体を解体するのではなく、必要な部分だけを解体し、傷んでいる部分を修復します。

一度全て解体した後に再生する改装

この改装は、古民家を一旦完全に解体し、柱や梁などの構造材を洗浄して再利用します。

柱や梁など、古民家特有の部材を再利用することで、新築では得られない独特の味わいや温もりを保持します。古民家特有の素材を活用することで、一般の住宅にはない独特の質感や雰囲気を作り出せます。

別の場所に移転して建てなおす改装

この改装は、古民家を元の場所から別の場所へ移動させてリノベーションを行います。好みの場所に気に入った古民家を再建することが魅力です。建材の運搬や土地の購入が必要で、他のリノベーション方法に比べて費用が高くなる傾向にあります。

都道府県をまたぐような大幅な移築も可能で、田舎の古民家を都会に移動させることもできます。

古民家リノベーションの費用相場とは

古民家リノベーションの費用相場は、家屋の状態によって大きく異なります。

費用総額の相場

最低限の費用	300万円～500万円
大規模リノベーションの費用	1000万円～2000万円
こだわりリノベーションの費用	2000万円～3000万円

基本的なリノベーションでは最低でも300～500万円が必要ですが、構造物が劣化している場合や素材やデザイン、設備にこだわる場合は、費用が1000万円や2000万円を超えることもあります。

一般的なリノベーション

一般的なリノベーションの場合、最低でも300万円から500万円程度は費用がかかります。
柱や梁などの構造物が大きく劣化している場合には、その修復には高額な費用が発生する可能性があります。

大規模リノベーション

大規模リノベーションの場合、古民家の水回りの交換、耐震・断熱性能の向上、間取りの変更、基礎の補強など大規模な工事が伴うリノベーションでは、平均的には1500万円程度の予算が必要です。

さらに、現代の耐震基準に合わせるためには、150万円から200万円の予算が見込まれます。築年数が古い古民家の断熱性能を向上させるためには、おおよそ300万円程度の費用がかかります。

こだわりリノベーション

古民家リノベーションの工事箇所が多く、規模が大きい場合、総費用は2000万円から3000万円程度かかることも珍しくありません。

現代の生活スタイルに合わせた間取りの変更や水回りの設備交換も必要で、これらの工事も費用を増加させます。

費用の内訳

古民家のリノベーション・リノベーションにかかる費用に続いて、費用の内訳を見ていきます。

	費用の内訳
施工費/材料費	間取り変更、内装の張り替えなどのメイン工事にかかる費用
断熱性/気密性の確保	断熱材の追加や窓サッシの気密性向上
耐震補強
給排水管交換
バリアフリー化	段差の解消、手すりの設置、合板下地の追加など
その他の費用要素	人件費: 職人や専門家の技術料 設計費: リノベーションの設計にかかる費用 予備費: 予期せぬ工事や追加工事のための余裕分

古民家のリノベーション・リノベーション費用は、具体的な工事内容や選択する素材、設備のグレードによって大きく変わります。リノベーション前に専門家としっかりと相談し、詳細な見積もりを取得することが重要です。

施工費/材料費

施工費や材料費はメイン工事の一環として、間取りの変更や内装材の更新にかかる費用です。そのため施工面積と工事の内容によって大きく変動します。予算に応じて、必要な範囲で調整することが重要です。

施工費や材料費は、工事時期や材料により最低300万円～500万円は必要です。特に柱や梁などの構造物が劣化している場合や、素材やデザイン、設備にこだわると、1000万円～2000万円以上かかることもあります。

断熱性/気密性の確保

古民家には天井、壁、床などへの断熱材の施工が必要です。断熱性や気密性の確保は、施工面積と工事内容によって変動するため、予算に応じて調整が必要です。

築50年以上の古民家では、断熱材の追加や窓サッシの気密性向上が必要のため、断熱ドアやペアガラスサッシなどの導入も考慮しましょう。適切な計画と予算設定により、長期的に快適な住環境を実現することが可能になります。

耐震補強費

耐震改修	125万円から300万円以上
壁の耐震補強	壁1箇所あたり9万円から15万円
全体的な住宅の補強	150万円から200万円程度
柱の耐震補強	5万円から20万円程度
屋根の耐震補強	1平方メートルあたり5,000円から7,000円

既存の古民家は昔の耐震基準で建てられている場合が多いので、心配な部分は耐震補強が必要になります。

柱の耐震補強は、接続金具の設置のみの場合5万円から20万円程度ですが、老朽化した柱の交換が必要な場合は100万円から300万円の費用が見込まれます。

屋根の耐震補強や交換には1平方メートルあたり5,000円から7,000円が相場で、全体的な屋根の葺き替えには80万円から150万円程度の費用がかかります。

給排水管の交換費用

古民家の給排水管は、しばしば劣化により水漏れのリスクが高まっています。早めの交換や修理で、将来的な大規模工事を防ぎます。

古民家では排水管の劣化による水漏れのリスクが高いため、交換工事は時間と費用がかかる大掛かりなものになる傾向があります。特に古い管の全面的な交換が必要な場合は、費用が高くなる傾向にあります。

水回り全般のリノベーション

キッチン	約50万円から
トイレ	約50万円から
風呂	約50万円から

キッチンを壁付けから対面式への変更や移動などの場合は、床や壁の追加工事により更に費用が増加します。

給排水管の交換は、古民家リノベーション・リノベーションにおいて重要な工事の一つです。劣化した管の交換や水回りの機能性の向上には適切な予算と計画が必要となります。

バリアフリー工事費

全体的なリノベーション	約1,700万円程度
部分的なリノベーション	約1,150万円程度

古民家に多い土間のある間取りでは、室内との高低差を解消や、手すりの設置、合板下地の追加などをするためのバリアフリー工事が必要です。これらの費用は、古民家の現状やリノベーションの範囲によって大きく異なるため、事前に専門家としっかりと相談し、詳細な見積もりを取得することが重要です。

古民家リノベーション費用をなるべくかけないようにするには？

古民家のリノベーション費用を安く抑えるための5つのコツを解説していきます。

施工範囲を絞る

古民家リノベーションの費用を抑えるためには、施工範囲を適切に絞り込むことが重要です。全体的なリノベーションは費用がかさむため、予算に合わせて優先順位をつけ、必要な部分のみを集中的に改修することが効果的です。

施工範囲を絞るメリット

限られた予算内で最大の効果を得るためには、事前にしっかりとした予算計画を立てることが重要です。

毎日使うキッチン、ユニットバス、LDKなどの主要な生活スペースは、最優先事項にしましょう。頻繁に使用しない和室やその他の部屋は、大掛かりな改修ではなく、内装リノベーション程度に留めることで、初期投資を抑えられます。

将来的なニーズに応じて、段階的にリノベーションをおこなうことも一つの方法です。古民家は一般的に広いスペースを持っているため、現在必要なエリアだけをリノベーションし、将来的な家族構成の変化やニーズに応じて、残りの部分を改修することも可能です。

予算が限られている場合には、畳の交換や壁紙の張り替えのような内装のみのリノベーションで雰囲気を一新することも一つの選択肢です。

地元の工務店に依頼する

地元の工務店は、全国規模の大手リノベーション会社と比べて宣伝広告費や人件費が少ないため、コストを低く抑えることが可能です。

地元で事業をおこなう工務店は、その地域の気候や土地の特性、地元の建材に精通しているので地域に最適なリノベーションプランを提案できる可能性が高まります。

既存の物を活かす

古民家リノベーションにおける費用を抑える重要なコツの一つは、既存の素材や構造を活かすことです。古民家には国産の丈夫な木材が使われていることが多く、これらを上手く再利用することで、新しい価値を創造しながらコストを節約することが可能です。

既存の素材を活かすメリット

既存利用可能な箇所
内部	無垢の床材、開き戸や引き戸、和室の木部分（柱、梁、長押、鴨居、床の間、天井）、収納（押入れ、物入れ）など
外部	玄関ドア、玄関ポーチの床材（石やタイル）など

既存の素材や構造を活かすことで、古民家の魅力を保ちながら、リノベーションのコストを抑えます。

柱や梁、屋根瓦などの既存の建材を再利用することで、新しい材料の購入にかかるコストを削減できます。古民家特有の梁や柱を見せるデザインは、オシャレで独特の雰囲気を生み出します。

補助金を活用する

補助金の活用により、リノベーションに必要な費用を大幅に軽減することが可能です。また、補助金を利用することで、より質の高いリノベーションや追加の改善をおこなうこともできます。

ただし、補助金の申請には条件があるため、各自治体の指示に従って適切に手続きをおこなうことが重要です。

ここでは古民家のリノベーション工事に利用できる5つの補助金をご紹介します。

• 耐震化助成制度
• 省エネ関連の補助金
• バリアフリー化の補助金
• 古民家解体費用の補助金
• 自治体による補助金の活用

耐震化助成制度

国土交通省では、耐震化を支援するため、「令和12年までに耐震性が不十分な住宅、令和7年までに耐震性が不十分な耐震診断義務付け対象建築物をおおむね解消する」ことを目標としています。また、地方公共団体も耐震診断・耐震改修に対して支援しています。

耐震補強をする際には、自治体からの補助金が受けられる可能性があるので、確認しましょう。例えば神奈川県では、県内市町村の住民が負担しない補助金もあります。
参照：国土交通省

省エネ関連の補助金

太陽光発電パネルの設置や断熱材の使用に対して、補助金が提供されることがあります。こちらも自治体によって補助の対象や条件が異なります。

バリアフリー化の補助金

高齢者や要介護者と同居している場合、バリアフリー改修に対して補助金が受けられる可能性があります。手すりの設置や段差の解消など、生活を安全で快適にするための工事に対して支給されることが一般的です。

例えばバリアフリーリノベーションを行った場合、控除対象限度額を上限として工事費用の10%が所得税額から控除される場合があります。

バリアフリーリノベーションは、古民家に長期間快適に住むために非常に重要です。補助金や減税制度を活用しながら、最適なリノベーション計画を立てることが望ましいです。

古民家解体費用の補助金

一部の自治体では、古民家の解体に関する補助金が提供されています。特に危険な状態にある古民家の解体や再生に対して、費用の一部を補助する制度があります。

自治体による補助金の活用

古民家再生やリノベーションに関する補助金は、地域によって異なります。リノベーションをおこなう前に、住んでいる地域の自治体や役場のホームページで補助金の有無や条件を確認しましょう。

事前調査をしっかりとおこなう

補助金の申請方法や必要な条件も自治体によって異なります。申請書類の準備や提出方法など、詳細を事前に把握しておくことが重要です。

事前調査を怠ると、工事中に予期せぬ劣化が発見され、計画外の追加費用がかかるケースが少なくありません。

例えば、天井裏や床下を含む建物の隅々まで調べることで、土台や柱などの構造的な問題をあらかじめ特定できます。このように、リノベーション前に徹底したチェックをおこなうことは、劣化の見逃しを防ぎ、追加工事のリスクを低減します。

工事が一度始まると、中断することは困難です。そのため、事前に可能な限りの詳細な調査を実施し、不測の事態に備えることが賢明です。事前に調査を行う事で、工事はスムーズに進み、最終的に総コストを節約することにつながるでしょう。