管理不全空き家とは？特定空き家との違いを徹底解説！

管理不全空き家が生まれる背景

国土交通省の調査によると、2023年3月31日時点で全国の管理不全空き家等の件数は約24万件となっています。

また、市区町村がこれまでに把握した管理不全空き家の累計は約50万件に上ります。

参照：国土交通省

どうしてこんなに管理不全空き家が生まれるのか、その背景について見ていきます。

大きな原因は人口減少と都市集中です。
特に地方では、若い人が都会に出てしまうため、家が空いてしまうことが多くなっています。

また、家の持ち主が高齢になると、自分で家を管理するのが難しくなる場合もあるんです。

誰も住まなくなった家は、次第に放置され、管理不全空き家となってしまうわけです。

さらに、相続の問題も大きな要因です。
親の家を相続する場合、相続人が複数いると、誰が家を管理するのかがはっきりしないことがあります。

兄弟がたくさんいると、「この家、誰が管理するの？」といった話になりがちです。

その結果、誰も家の面倒を見ずに放置されてしまうことが多いのです。

こうしたいろいろな事情が重なって、管理不全空き家が全国に増えているというわけです。

空き家対策特別措置法における位置づけ

日本政府もこの問題を解決しようとしています。
そのためにできたのが「空き家対策特別措置法」です。

この法律は、自治体が管理不全空き家の実態を調査し、必要に応じて修繕や撤去を命令できるようにしています。

例えば、倒壊の危険がある家や不衛生で周囲に迷惑をかけている家は、特に力を入れて対策を講じることができるんです。

また、この法律に基づいて、特に問題となる空き家は「特定空き家」に指定されることがあります。

この「特定空き家」に指定されると、自治体はさらに強制的に介入し、必要な対策を取ることができるようになります。

例えば、所有者が改善しない場合、自治体が費用を立て替えてでも修繕や撤去を実施することができます。

このようにして、管理不全空き家がもたらす問題を解決しようとしています。

管理不全状態の判断基準

それでは、どんな空き家が管理不全空き家と判断されるのでしょうか？

まず考えられるのは、建物の老朽化です。

外壁が崩れかけているとか、屋根が壊れそうになっているとか、こういう状態は非常に危険です。

また、不衛生な状態も管理不全と見なされます。

例えば、ゴミがたくさん溜まっていて、害虫や害獣が発生しているような場合です。

さらに、近隣住民に迷惑をかけるような状態も問題とされます。

例えば、雑草がボーボーに生えていて、隣の家の庭まで侵食しているとか、悪臭が漂っているとか。

このような基準をもとに、自治体は管理不全空き家かどうかを判断します。

そして、必要な対策を講じるのです。
これにより、管理不全空き家が周囲に悪影響を与えることを防ぎます。

管理不全空き家がもたらす問題点

管理不全空き家が引き起こす問題は多岐にわたります。

近隣住民への影響だけでなく、地域社会全体にもさまざまな影響を与えることがあります。

ここでは、主要な問題点について詳しく見ていきます。

※各項目をタップすると詳細にジャンプします。

• 近隣住民への影響
• 地域社会全体への影響

近隣住民への影響

一番わかりやすいのは、近隣住民に直接的な影響を与えることです。
ひとつひとつ見ていきましょう。

安全性の問題

管理不全空き家の最も大きな問題の一つは安全性です。

建物が老朽化しているため、倒壊の危険が高くなります。

台風や地震などの自然災害が発生すると、外壁や屋根が壊れて通行人や近隣住民に直接的な被害を与える可能性があります。

このため、管理不全空き家が存在する地域では、住民が常に危険にさらされている状態と言えます。

所有者は、定期的に建物の点検と修繕を行い、安全性を確保する必要があります。

また、自治体も空き家の実態調査を行い、必要に応じて所有者に対して適切な指導や助言を行うことが重要です。

これにより、管理不全空き家がもたらす安全性の問題を未然に防ぐことができます。

地域全体で取り組むことで、安全で安心な住環境を維持することができます。

衛生面での懸念事項

皆さん、管理不全空き家が不衛生であることから、どんな問題が生じるか考えたことありますか？

例えば、誰も住んでいない家にゴミが山積みで放置されているとどうなるでしょう。

ゴミが腐って悪臭を放ち、ウジ虫やゴキブリがわいて大変ですよね。

それだけでなく、ネズミが住み着いたりすることもあります。

近所の人にとっては非常に不快なだけでなく、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

特に夏場は、害虫が爆発的に増えることがありますので、近所の住民にとっては大きなストレスの原因となります。

このような問題を避けるためには、空き家が適切に管理され、定期的に清掃されることが重要です。

衛生的な問題を解決することで、住環境全体が改善され安心して生活できるようになります。

景観への影響

管理不全空き家がどんな風に地域の景観に影響するか考えたことはありますか？

例えば、きれいな街並みの一角に、ボロボロで雑草が生い茂った空き家があったらどうでしょう。

すごく目立っていて、街全体の雰囲気を壊してしまいますよね。

景観が悪くなると、その地域の価値も下がることがあります。

観光地の場合、旅行者が訪れるのをためらうようになることもあるかもしれません。

また、景観が悪いと、その街に住み続けることにネガティブな感情を抱く住民も増えてしまいます。

このように、管理不全空き家があることで、地域全体の印象が悪くなり、住民の満足度も下がってしまうのです。

地域社会全体への影響

管理不全空き家は、近隣住民だけでなく地域社会全体へも影響を及ぼします。
詳しくご紹介します。

治安への影響

誰も住んでいない空き家があると、そこが犯罪の温床になりやすいという話を聞いたことはありませんか？

例えば、夜暗くなってから不審者が入り込み、放火や盗難などの犯罪が発生することがあります。

また、空き家が不良グループのたまり場になってしまうこともあります。

こうした状況が続くと、地域全体の治安が悪化し、住民が安心して生活できなくなります。

特に子どもやお年寄りがいる家庭では不安が増しますね。

地域全体で安全を守るためには、空き家の管理が重要です。

管理不全空き家が減ることで、地域の治安も改善され、安心して過ごせる環境が整うでしょう。

地域の資産価値への影響

管理不全空き家は、その地域の不動産価値にも大きく影響を与えることがあります。

例えば、自分の家の隣に管理不全空き家があると、その家の価値も下がってしまうことがあります。

誰も住みたくない地域になってしまうからです。

結果的に、地域全体の資産価値が下がり、経済的にも悪影響を及ぼすことがあります。

また、新しい住民や企業が移り住む意欲も低下してしまいます。

地域の活性化が阻害され、経済活動が停滞することが懸念されます。

こうした問題を防ぐためには、管理不全空き家の問題を早期に解決することが求められます。

地域全体で協力し、管理不全空き家を減らす取り組みが必要です。

特定空き家との違いは？

管理不全空き家と似ている空き家の種類で、特定空き家というものもあります。
ここでは、管理不全空き家と特定空き家の違いについて見ていきます。

この違いを理解することで、より適切な対策を講じるためのポイントを押さえましょう。

分類	管理不全空き家	特定空き家
定義	適切に管理されていないため放置された空き家	周囲の生活環境に悪影響を及ぼす可能性があると判断された空き家
主な問題点	建物の劣化、雑草の繁茂、不法投棄、火災のリスクなど	建物が倒壊する恐れや害虫・害獣の発生など、生活環境への悪影響
管理の要件	一般の管理不全で、周囲に影響を及ぼしていないものも含まれる	法律で特定された基準を満たし、市区町村が指定することが必要
法的位置付け	法律による明確な規定はないが、住民の苦情や通報により対応されることが多い	空き家等対策特別措置法によって法的に制御される
改善行動	所有者や管理者による自主的な対策が求められる	改善が行われない場合、市区町村が強制的な措置を行う場合がある

そもそも特定空き家とは

特定空き家とは、日本の「空き家対策特別措置法」に基づき、周囲に悪影響を及ぼす可能性が高いと判断された空き家のことを指します。

倒壊の危険がある、衛生状態が悪い、犯罪の温床となっているなどの基準を満たしている空き家が該当します。

参照：国土交通省

特定空き家に認定されることで、自治体は所有者に対して修繕や撤去を強制的に命令することができます。

所有者が対応しない場合は、自治体が費用を代替してでも実施することが認められています。

この仕組みにより、特定空き家は迅速かつ確実な対応が可能となります。

管理不全空き家から特定空き家へ変わるには

管理不全空き家が特定空き家と認定されるためには、一定の基準があります。

まず、建物の老朽化が進み、倒壊の危険がある状態です。

これには外壁が崩れている、屋根が壊れているなどが該当します。

また、不衛生な状態が続いており、害虫や害獣が発生している場合も特定空き家と認定される可能性があります。

さらに、犯罪の温床となっている場合や、近隣住民に対して不安や不便をもたらしている場合も基準に含まれます。

これらの基準を満たすことで、管理不全空き家が特定空き家へと変わり、より厳しい対策が講じられることになります。

行政による措置の違い

特定空き家と管理不全空き家に対する行政の措置には違いがあります。

ここでは、それぞれの対応について詳しく説明します。

管理不全空き家への対応

管理不全空き家に対する対応は、まず所有者に対して改善の指導や助言を行うことから始まります。

所有者が対応しない場合、行政は命令や勧告を行い、最終的には家の修繕や撤去を命じるという、強制的な措置を取ることもあります。

これにより、管理不全状態が改善され、周囲への悪影響が軽減されます。

特定空き家への対応

特定空き家に対しては、法に基づき強制的に撤去や修繕を行うことが可能です。

所有者が対応しない場合、行政が費用を代替して実施することが認められています。

このため、特定空き家の方が迅速かつ確実な対策が講じられるケースが多いです。

行政は、特定空き家に関する情報を住民に公開し、地域全体での理解と協力を求めます。

管理不全空き家の予防と対策

管理不全空き家を未然に防ぐためには、所有者が積極的に予防措置を取ることが重要です。

ここでは、具体的な予防措置や対策について詳しく説明します。

※各項目をタップすると詳細にジャンプします。

• 所有者が取るべき予防措置
• 売却する
• 活用する

所有者が取るべき予防措置

まずはそもそも管理不全空き家とならないように家の所有者がとるべき予防措置についてご紹介します。

定期的な維持管理の重要性

定期的な維持管理は、管理不全空き家を防ぐために非常に重要です。

外壁の修繕や草木の剪定、内部の清掃などを定期的に行うことで、家の老朽化や不衛生な状態を防ぐことができます。

これにより、空き家が近隣住民や地域社会に悪影響を及ぼすことを未然に防ぐことができます。

維持管理には費用がかかりますが、長期的には家の価値を保つことにも繋がります。

相続対策の必要性

相続対策も管理不全空き家を防ぐためには重要です。

生前に遺言書を作成し、相続人が明確になっている場合は、空き家の管理や処分がスムーズに行えます。

相続人が複数いる場合でも、責任分担や管理方法を事前に決めておくことで、空き家が放置されるリスクを減らすことができます。

相続対策を行うことで、管理不全空き家の問題を未然に防ぐことができます。

売却する

空き家を持ち続けることが困難な場合は、早めに売却を検討することも一つの選択肢です。

適正価格で売却することで、管理不全状態を防ぎ、地域社会にも寄与します。

建物を解体して更地として売却する

古い建物があると、土地の場所がいい場所でも、買いたい人がなかなか見つからないことがあります。

そのため、建物を壊して更地にして売るという方法があります。

更地にして売るメリットとして、買いたい人が見つかりやすいことがあります。

また、建物の管理をしなくて済むという利点もあります。

しかし、デメリットもあります。

まず、建物を壊すためのお金がかかります。

さらに、更地にすると固定資産税という税金が増えることがあります。

ただし、結果として更地にすることで土地の使い道が増えます。

例えば、駐車場にしたり、倉庫を置いたり、新しい家を建てたりすることができます。

土地によっては、更地にした方が早く売れることもあります。

不動産会社に仲介を依頼して売却する

不動産会社に仲介を依頼して売却するメリットとしては、不動産会社がチラシやインターネットで物件を宣伝してくれることです。

また、不動産売買を成立させるために必要な物件調査や契約書の作成、お客さんとの立ち会いなどを不動産会社に任せることができます。

デメリットとしては、仲介手数料がかかることです。

仲介手数料の上限は、物件の価格が400万円を超える場合は物件価格の3％＋6万円（税別）です。

物件の価格が400万円以下の場合の仲介手数料の上限は18万円です。

不動産買取に依頼をして売却する

最後に、「不動産買取」という売り方があります。

これは、空き家を直接不動産会社に買ってもらう方法です。

メリットとしては、売るまでの時間が短いことです。

また、手続きがかんたんで、仲介手数料がかからないこともメリットです。

さらに、特約をつけてもらえれば、売った後の責任が免除されることもあります。

デメリットとしては、普通の値段よりも安く買い取られてしまうことです。

活用する

空き家をそのまま放置せず、有効に活用することで新たな価値を生むことができます。

ここでは、空き家の活用方法として3つご紹介します。

駐車場経営

空き家を駐車場に変えるのは、お金をかけずに始められるというメリットがあります。

特に都市では、車を停める場所を探している人がたくさんいるので、月極や時間貸しの駐車場にすれば、お金を稼ぐことができます。

他の建物を作るよりも、駐車場は管理がとても簡単で、手間もかかりません。

駐車場ビジネスの収入は安定していますが、特別多いというわけではありません。

でも、空き家をそのまま放っておくよりは駐車場にする方が良いでしょう。

駐車場にする前に、その場所がいいかどうか、お金が稼げるかをしっかり調べてから始めましょう。

シェアハウス

空き家をシェアハウスとして使うと、たくさんの人に部屋を貸せて、空き部屋のリスクも低くできる面白い方法です。

シェアハウス市場はすでに大きくなっていて、これからもたくさんの人が利用したいと思っています。

シェアハウスを始めるには、どんな人に貸すのかをしっかり決めて、部屋を直したり、管理の仕方を考えたりすることが大切です。

シェアハウスを成功させるには、みんなで使う場所（リビング、キッチン、お風呂など）の質を高くすることが重要です。

これらの共有スペースを快適で使いやすくすると、部屋を借りている人たちが仲良くなり、みんなが満足できるようになります。

カフェ経営

空き家をカフェに変えることは、始めやすく、税金の節約もできるという良い点があります。

成功するためには自分のお店だけの特別な雰囲気を作り、近くのお店を調べて、お金の計画をしっかり立てることが大切です。

特に、古い家をカフェにする場合は、その家の歴史や雰囲気を活かしたお店作りが求められます。

建物が古くならないように気をつけて、行政から問題のある空き家と言われないようにすることも重要です。

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