目からウロコの不動産売却講座
売却価格はどう決める?
売却の委任先が決まったら、今度は具体的な「売却価格」を決めなければなりません。
しかし、ひとえに「売却価格」と言っても下図に示す通り、
売却プロセスごとに価格の捉え方が異なります。
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【売却査定価格】 不動産業者などが調査したうえで提示する客観的な価格
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【売り出し価格】 実際に売り出すために設定する価格
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【買い付け価格】売り出した際に買主から提示される希望購入価格
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【契約成立価格】実際に成立した売買契約の締結価格
【売却希望価格】
おそらく、売りに出す際には売主自身が「この価格で売りたい!」、
「この価格以上だったら納得する!」と言った売却希望価格があるかと思います。
その価格で実際に売り出すかどうかは別として、
委任を依頼する担当者には希望価格を告げてもいいでしょう。
また、その価格根拠があれば提示することも忘れずに行いましょう。
【売却査定価格】
査定価格は、主に委任先である不動産業者が査定に必要な物件情報、関連資料の入手、
そして現地調査などをおこないます。
そして、現状での評価額を算定し、過去の類似近隣取引実績なども参考にしながら
「査定価格」として提示されます。
査定額とは、あくまで売却可能な価格を示す目安ですので、
必ずしも価額を保証するものではありませんし、査定で提示された価格で売り出す必要もありません。
査定価格が提示されたときには、価格のみに注目するのではなく、
「何故その査定額なのか?」と言った理由までしっかりと聞くことが大切です。
【売り出し価格】
売り出し価格とは、実際に売り出しを行うために設定する価格です。
自分自身が希望する売却価格と委任先などから提示された売却査定価格を参考に、
売り出し価格を取り決めるわけです。
通常、売り出し価格を決める場合、
おおむね3ヶ月前後を目安に売却できそうな価格設定を行うことが多いようです。
ただし、売却に関連する諸事情によって売り出し価格の考え方は異なりますし、
売り出し方も変わります。
基本的に、売主の事情や意見を尊重して取り決めるものですが、
あまりに実勢相場とかけ離れた「高額設定」やその他の「売渡条件」をきつくしてしまうと、
せっかくの物件そのものの魅力が薄れてしまう恐れがあります。
また、委任先である不動産会社にしても販売意欲の低下にもつながります。
やはり、信頼できる委任先の担当者の意見をしっかり聞き、
売り出し価格を決めるのが一番の方法と言えます。
【買い付け価格】
売り出し価格で販売活動を行い、買い手が見つかると買付証明書(もしくは、購入申込書)と言った書面が、委任先の担当者を通して売主に通知されます。
この書面には、購入を前提とした諸条件が記載されており、
その一つに買い手からの購入希望価格も提示されています。
これが、いわゆる「買い付け価格」と言うものです。
この買い付け価格は、買い手の都合で取り決めた希望価格であり、
当初の売り出し価格と必ずしも一致するわけではありません。
当然、売り出し価格を下回る「値引き価格」で提示されることも珍しくありません。
もし、買い付け価格を含めた諸条件に売主が合意(委任先の担当者を介して口頭、もしくは売渡承諾書などで通知)すれば、めでたく売買契約の運びとなります。
しかし、価格を含めた諸条件が飲めない、もしくは、調整する必要があると言うことであれば、
ここから交渉が始まるわけです。
ちなみに、提示された条件次第で、交渉の土俵すら上がらない案件や交渉の末、
「決裂」と言った事態も十分に考えられます。
【契約成立価格】
契約成立価格とは、買い手からの買付証明書(もしくは購入申込書)の書面提示によって、
最終的に売主、買主で合意し、売買契約として取引する価格になります。
売買契約を締結すれば、売主は引き渡しのための段取りを実行させ、
買主は引き渡しまでに約定された売買代金を決済することで取引は完了します。