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家族の将来を見据えた想像力

家づくりの原点は話し合うことです。「ともに語り合い、一緒に考える」この基本がなければ、いい家を建てることは出来ません。住まう家族でたっぷり話し合うことが最良の家をつくる秘訣です。

今は、過剰ともいえる高品質の注文住宅を競いあっている時代。いろいろな装置や、新商品もかなりの数が出回っています。…でも、注文住宅というのは、そういう素晴らしいモノがそろえば良いというものではありません。家というのは「人が住まう場所」です。

人も自然の生き物です。最近の注文住宅を見ていると、人間の身体を弱らせる方向に来ているのではないかと感じてしまうくらいです。本来ならば、人間という生き物も自然の中で、もっともっとたくましくならないといけないと思います。それなのに、「高気密・高断熱で、家の中に温度差がなくなります」とか、そういう話ばかりになってしまう。

これ、実は、逆なのです。もちろん、それらの「機能」は、家にとって、良い装置、良い商品です。でも、そればっかりの話で進めると、建てた家が無機質なモノになってしまう可能性もあります。家をつくるときには、その中に住まう人たち同士のふれあいだとか、もっともっと人間中心のことを考えなければいけません。

これが、近年、抜けているのではないかと感じてしかたがないのです。日本中、どこへ行っても「安全な場所、安心な場所、快適な場所」を注文住宅に求めています。言い換えれば、注文住宅の中、恵まれた場所にさえいれば良いんだと……。

…でも、わたしはつねに問いかけます。「はたして、本当にそれは個性ある良い注文住宅なのか……」と。いったん家を建てたら、気に入らないから、すぐに直してというわけには行きません。だから、家をつくるときには「家族の将来を見据えた想像力」がものすごく必要となるのです。

「家族の変化に対応できる注文住宅」これも、家づくりには大切なことです。今の理想だけで家づくりをすると、数年後に後悔することもあります。
「家族の今後の生活や子供の変化にも対応できるか?」ということを、常に問いかけて家づくりを考えてみてください。

今の社会性の原因が「家」にあるのかも…

家族全員にとって、落ち着ける居場所がある……それが理想の家

家は毎日帰ってくる場所ですから、居場所がないのはツライことです。どこかに、自分が確実に落ち着く居場所があるっていうのが、本当の住まいだと思います。

人によっては、それがお風呂だったり、家族団らんのリビングだったり、1人きりの書斎だったり……、それぞれに違いますが、「毎日、心から帰りたくなる家」、「早く家に帰りたいと思える家」、これがその人にとっての理想の注文住宅ではないかと、わたしは思います。

人って……けっこう怠け者ですから住み心地が良い家からは出たがらなくなってしまうのです。人が家に住まうとき、人は家の中で怠け者になりがちです。特に居心地が良い家だと、家から出たがらなくなるケースも生まれます。冷暖房施設、電化製品、テレビ、ゲーム、そういった「装置」が各種そろっているからです。ずっと家に閉じこもって、外とのコミュニケーションが取れないことに、なんのためらいも感じなくなってしまいます。

それが続くと、だんだんその生活のほうに慣れてきて、それが当たり前のことと思えてしまうようになっていきます。気がつけば、たったひとりぼっち……です。「装置」が充実した良い家のおかげで起こってしまう不思議な弊害。今の社会性の中で「家族とのコミュニケーションがない」とか「友だちがいない」といった現象が起こっていますが、その原因のひとつは、家にあるのではないかと感じてしまうことも多々あります。

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