家族の暮らしと家・住まいの考察
家づくりで大事なこと
家の中を一番使う人は誰か?
「家族みんなが仲良くなれる家をつくってください」。これが家を建てようとする人たちの一般的な注文です。せっかくの注文住宅を建てるわけですから、ここはしっかり考えたいところです。
ではどうするか?
それは、「家の中を一番使う人は誰か?」を考えることです。言い変えれば「家の中心人物は誰か」ということです。
奥様?ご主人?それとも子どもたち? 奥様と子どもたち?
ここを明快にしておけば「家族みんなが仲良くなれる家」にするにはそう難しいことではありません。その中心人物に家族が集まってくるようにすればいいのです。奥様のケースが多いのですが・・・
例えば「賢い子に育つ家にしたい」であれば、キッチンのとなりに小さな和室を設けておいて、そこで勉強する姿を見守ってやる。奥様も疲れればその和室で横になれる。
それだけではありません。バーカウンターなども作っておき、将来は子どもたちとお酒を楽しむこともできるようにしておく。つまり家族の成長ストーリーを考えた家づくりですね。
現在ではなく未来を考えた家づくりです。家をつくることは未来をつくることなんです。今は便利な時代ですがやっぱり家族それぞれが思いやりのある家づくりですね。
災害に強い家
地震と火災のふたつに備えた家づくり。
災害に強い家は2つの視点から見る必要があります。ひとつは地震、もうひとつは火災です。地震は地盤と基礎が最も大きく影響しますのでまずしっかりと作っておきましょう。
地盤は場所によって大きく違ってきますので、専門家による地盤調査によくチェックしてもらってください。基礎は今はべた基礎と言って床全体にコンクリートの盤をつくる傾向にあります。これは地盤に建物の部分的なひずみを防ぐのに良い工法です。
かつて木造住宅では地震による被害の多くは下からの突き上げにより、建築材料の構造ジョイント(継手という)部分が外れてズレ、家の重さを支え切れなくなって起こりました。特に基礎や土台に近いところで外れるとひとたまりもありませんでした。木材同士の場合、釘を多く使っていました。錆が進行しすぎると木を腐敗させ、木の強度を損ない始めます。
しかし今ではこうした木造住宅の弱点をカバーする様々な工法や仕組みが開発されていますので、建築家とどの工法で家づくりをするかを話し合っておくといいでしょう。自身の被害で大きいのは家具の被害です。転倒防止金具などしっかり対応しておきましょう。
火災には「内部火災」と「もらい火」のふたつがあります。
「内部火災」では、今の住宅の部屋は多くが壁面に石膏ボードが貼ってありますので、火災発生源の部屋から次の間への延焼はしにくくなっています。そのため部屋から部屋へと燃え移ることが少なく、全焼となるケースはあまりなくなってきました。
「もらい火」ですが、一階より二階のほうが大きな被害を受けます。
火は高いところほど高温になり広がりますので上部ほど火災に警戒しなければなりません。しかし最近の住宅は外壁が燃えにくい素材のものが多く、相当大きな火災でないと起こりにくい現象になっています。
ただし、窓ガラスは熱に弱く、溶けて割れ、そこから火が侵入します。ここは隣家の状態などを把握したうえで予め対処を考えておく必要があります。