樹木と外観デザインについて
いい樹木の配置は、家を美しく見せてくれる。
建物は人工物でほぼ硬い直線でできています。しかし樹木は生命体で、幹、枝、葉などそれぞれ形が違います。樹木のよいところは、その自然形が建物の直線に優しさをおぎなってくれます。
いい樹木を配置すると家を美しく見せてくれる効果があります。樹木は樹種にもよりますが早く成長する樹木も多く、街路樹や桜など高木といわれるものは1年間で約0.6㎝も太ります。
ケヤキなどは30年もたてば天を突くような高さになります。
しかし長年かかって敷地に生えていた樹を大切にする、好きな樹を育てることはその土地の歴史と重なって人々の癒しにもなります。
また樹木には樹形や木肌の美しさ、葉の形、花や果実など多くの魅力をもっています。それらをうまく活用すると建物とのデザイン効果を相乗的に高めてくれます。その他地被植物、灌木、低木類も大きく貢献してくれる植物です。
樹木の効用についておぼえておきたいのは神戸の震災でも発揮しましたが「防火効果」です。樹木は水分のかたまりですから、枝葉は燃えても太い幹が火災を食い止めます。隣家からの「もらい火」に効果抜群です。
狭小・変形敷地の住宅デザインについて
欠点を長所に変えるアイデア。
狭小・変形敷地の最大の欠点は「狭い」「小さい」「建物が建ちにくい」「建物面積が取れない」「法的規制が厳しい」「建築コストが高い」「風が通りにくい」「陽ざしが入りにくい」「設計が難しい」など欠点がたくさんあります。
そのため厳しい敷地条件に制約されて設計するためデザインがあまりに単純になりがちです。建築家泣かせの条件なのですが、反面やりがいも多く、無駄を省き、優れたデザインも多く生まれやすいともいえます。
欠点は最大の長所になる可能性が高いですね。
しかしこの欠点を長所に変える方法として、例えば、風を入れるために部分的に中庭や吹抜けをうまく作って縦の「風穴」を開ける。
陽ざしを入れるために壁面を「雁行」(階段状)させた設計にするなど、さまざまなアイデアがあります。土地形状の制約で単純になるしかないと諦めていた家も、建築家の手腕で個性的で愛着の湧く家にすることも可能です。
楽しい住宅として生まれるものの中にはこの狭小敷地のものがアイデアいっぱい詰まったものがたくさんあります。
平屋建て住宅の外観ポイント
もう、平屋=和風ではない。
かつての平屋建ては、ある程度の数の部屋をつくると中廊下になって北側の部屋が真っ暗になるのが欠点でした。そのため大家族の住む家として室内格差が生まれてきました。しかし、平屋は水平移動だけなので体力的にラクで使いやすい、住みやすいという大きなメリットがあります。
現在世帯人数も減り、バリアフリーの視点からも高齢者住宅として注目を集めています。欠点だった中廊下も中庭を設けることで、各部屋に明るさをもたらすことができます。
デザイン上ではかつて大きな屋根でシンプルなものが多かったのですが光や風を取り入れることで屋根形状が大きく変わってきました。
地上からポッと飛び出した形は安定感と柔らかさの症状を出すことができます。また平屋は「和風」のイメージがあるのですが、天井を高くしてロフトを設けるなどで、いまの暮らし方にフィットさせることもできます。
敷地があれば将来のことを考えて平屋にしておくのも選択肢のひとつにしておいてはいかがでしょうか。