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成功するリフォーム・総論編

リフォームで「エコ」な住まい

「科学技術の進歩とエコ……!?
相反する2つのバランスをとるのは、難しい問題です」

「エコ」と聞けば、まず木材や石材といった自然素材を使った家を思い浮かべるという人も多いと思います。
近ごろは、お客さま側からの希望も、確かに多くなりました。
でも、現在では自然素材というのは、物によってすごくコストがかかります。
最初に予算の話から始めるのも無粋ですが、つまるところ予算と合わなければ折り合いがつかず、希望もかなわない。このあたりのバランスが難しいところです。
対する工業製品、いわゆる化石燃料(主に石油))に頼った製品なら、そのほとんどが自然素材の半分以下の価格に抑えられます。
大量生産時代に突入した日本の家屋に用いられたのが、こうした製品で、いいかえれば均一化に走ったわけです。

ただし、この「大量生産=均一化」っていうやつが、じつにクセモノだったのです。
自然界のどこを見渡しても、「均一」なものなんて存在しません。
だから、そもそもが自然界に背いた方法だったんでしょうね。
結果、あまりにも化石燃料に頼りすぎたせいで、地球のオゾン層が破壊され自然界に大きな影響を与えるという、思いもよらない大問題へと結びついていくことになります。
そこで、弱った地球を回復すべく、世界中で叫ばれるようになったのが「エコ」というわけです。

「エコ」とは、「エコロジー(ecology)」の略で、もともと「生物学」や「生態学」などを意味する言葉ですが、今では「環境問題の対策」も意味する言葉としても通用します。
科学技術の発達には少し矛盾を感じる、歴史をひとまわりした「昔がえり」の感もありますが、生物として人が住まう家や建物に関して言えば、わたしは広い意味で、こちらのほうが正解だと思っています。

大量に造って、大量に使えば、安くなるのはあたりまえ。大手メーカーの躍進も、この「より安く」というコストパフォーマンスが、ユーザーのニーズにピタリとハマった結果です。
あれだけ多くの工業製品がなければ、モノは安くならなかった、これもまた事実というわけです。

なんに対してもいえることかもしれませんが、品質をとるか、価格とるか、このあたりのバランスが、結局は難しい。化学製品、工業製品というのは、最初の新しいうちはいいけど、すぐに古くなります。

対する自然素材っていうのは、生きていますから腐敗しない限り古くなっても価値が落ちません。

地球環境や自分自身の健康を考えて、長い目で見て、それを高いと考えるか、安いと考えるかの話になります。
今は、需要も増えてきたことで、自然素材自体かなり安くなってきました。インターネットで検索すれば、意外に安い製品も見つかります。

たとえば、火山灰の砂が壁材などの素材として製品化されたものもあります。火山灰は、本来が高温に熱せられた結晶体で、中に小さな穴が無数に開いた「発泡質」を作っています。

この「発泡質」が、家にとってじつにいい。
通気性はもちろんのこと、ニオイや化学物質といった人間にとって悪い要素を定着させるという利点まで備えています。
そのくせ、本来がタダ同然の灰砂ですから、比較的、安価に抑えることもできます。
また、床下や天井裏に炭や吸水剤を置くというのも、簡単な「エコ」につながります。これらは置いておくだけで、自然に家の中の水分を調整する効果があります。

家にとってやっかいな水分を調整してくれる、これだけでも、住まう人の健康や家屋のための「エコ」です。
リフォームに「エコ」を取り入れたいなら、まずはこうした素材や、そのほか多くの情報を、自分たちなりにいろいろ勉強してみるのもいいと思います。

最近では建築家のわたし自身も、初めて知る新しい発見がいっぱいあるくらいですから、みなさんにも、きっと大きな発見が待っているはずです。

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