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成功するリフォーム・総論編

リフォームを通して考える「バリアフリー」

「バリアフリー・リフォームの基本は手すりの設置と段差の解消です。
でも、それ以上に注意して気をつけたいのが、人が裸になる空間です」

「バリアフリー」は、1974年ごろから用いられるようになった用語で、高齢者や障害者の方々が危険を伴うような障害を徹底して取り除いた状態をいいます。

特に日本は、公共施設はじめ学校や企業など全国的に「バリアフリー」化が踏襲されています。
また、ますます進行する高齢化社会となって、65歳以上の方が暮らす各家庭にも、手すりの設置や、段差をなくすなど「バリアフリー」化が徹底されるようになりました。
簡単にいうと、高齢者の方や、障害者の方にケガや障害を与えることがないことを目指した改築リフォームということになります。
手すりの設置も、段差の解消も、リフォームそのものは、それほどむずかしい措置ではありません。

ただ、いたるところに手すりだらけ家を目にしたとき、ふと建築家として矛盾を感じることもあります。人間の防衛本能というのがどんどん低下しているそうなんです。

「バリアフリー」は、もちろんすばらしい考え方ですが、あまりにも設備に頼りすぎて、身体を動かすことが少なくなっているのではないでしょうか。

自分の力で歩けるなら、手すりに頼らずゆっくり落ち着いて移動するのも身体のために良いことです。高齢者のための介護施設もそうです。

確かに、全国各地に快適な設備の建造物が増え続けていますが、高齢者の方々が、はたしてそこで、人が本来持っている力を発揮できる生活されているのでしょうか。

設備や施設の設置ばかりに気をとられて、中に住まう方々の気持ちに応えられているのか、そんな福祉そのものの考え方に少しばかり偏りのようなものを感じてなりません。決して高齢者の方々への批判ではありませんので、ご了承ください。

バリアフリー・リフォームで、特に気をつかってあげたい注意点を、もうひとつつけくわえておきます。それは、風呂場や脱衣場といった高齢者が裸になられる場所です。

手すりや段差の改築に合わせて、ぜひとも新しく床暖房や断熱材のリフォームされることをお薦めします。急激な温度の変化は、高齢者にとって、見えない危険と背中合わせです。寒さや冷たさを感じさせない温度管理もまた、大切な「バリアフリー」の一環ですから。

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