成功するリフォーム・総論編
リフォームで「エコ」な住まい(2)
「エコを、部屋の中に取り入れるという発想の転換。
外部と内部とを、うまく自然と人間が行き来できる家の使い方こそエコです」
素材もそうですが、そもそも「エコ」を考えるなら、外との接触も重要です。
昔ながらの日本家屋というのは、今と比較すると、建物そのものが雁字搦めではありませんでした。
いつのまにか、自然に風も通るような環境を生み出すゆったり空間でした。
ところが、今はどうでしょう。建物の性能が上がり、家を閉め切りがちになっていませんか。エアコンの効いた部屋で、中の温度も1日中でせいぜい2、3度くらいしか変わらない環境というのが簡単に作られるようになりました。人にとって快適すぎる空間かもしれませんが、これが本当によい環境とはいえません。
外の自然環境は、1日のうちに何度も気温や湿度が変化します。この環境を家の中にもバランスよく取り入れることで、十分人と家を守る「エコ」につながります。いわば「エコ」を部屋の中に取り入れるという発想です。
外部と内部とを、人がうまく活用して生きていけるような家の使い方なのです。
重要な「窓」を考えてみましょう。人が外に行き来しやすい設計にしたり、空気の入れ替えもたっぷりしやすい設計を心がけることで、まったく内部環境は違ってきます。しかし、家にとって、水分というのは、ひじょうにやっかいな問題です。
家の中は、人もいれば、さまざまなモノたちであふれかえっています。
特に、人が汗などを通じて輩出する水分や料理の時に使う水分を考えただけでも、意外なほどに大量です。閉めきったままの環境では、どうしても家の中に湿気が充満してカビや雑菌を繁殖させてしまいます。
そこで、外との接点を作り、風通しや日差しを導くのです。空気の入れ替えはもちろん、自然の環境も家の中へと取り込むのです。
「そんなことは当たり前でしょ。空気の入れ替えくらいやっていますよ」と、反論される方もいらっしゃるかもしれません。でも、あえてそれ以上に、もっともっと家の中にいながらにして、外の世界を、より身近なものに感じるような家造りという発想の転換です。(部屋の換気は2時間に1回以上空気を入れ替える必要があります)
雨や湿気の多い日本では、いつのまにか、外部との遮断ばかりに重点を置くような設計を考えてきたように思います。そこに住み続けるうちに、人も、ついつい外との接点の持ち方がヘタになっていったのではないでしょうか。あらためて、家の中にいながらの外部との接触を考えてみてください。窓を第一歩に、外の世界を感じやすい環境を、家の中にも取り入れる。
これこそ、わたしは「エコ」な家だと思っています。
リフォームを考えるなら、素材だけでなく、外の世界を取り入れる設計も心がけてはいかがでしょうか。