成功するリフォーム・総論編
「省エネ」するリフォーム(2)
樹木のある家、じつは、これが究極の省エネかもしれません。
決して否定ではありませんが、いくら「オール電化住宅」や「ソーラーの家」で「省エネ」」といっても、あまりにも設備に頼りすぎという感も否めません。初期費用は高額だし、使うのはとどのつまり電気などのエネルギーなんです。
じつは、樹木のある家というのは、それだけで「省エネ」なんです。
樹木は、自分が地面から吸い込んだ水を「蒸散」といって外へと放出しながら成長します。樹木の下にいるだけで涼しさを感じるのは、なにも太陽光を遮っているからばかりではありません。
樹木の出す水の効果もかなりあります。温度が下がれば、そこに風が発生します。温度調整の効果にはその風が最適です。これが本来の自然が生み出す姿なのです。昔から樹木のある家は、こうして家屋を自然の力で守ってきたのです。
ところが、悲しいかな、リフォームを頼まれる方の中には、庭の木を切ってくださいというご希望がけっこう多い。「すごくじゃまです。鳥が来るし、虫が来るし毎年、落葉や手入れもたいへんなんです」といった理由がほとんどです。もちろん、当事者の方がおっしゃることですから、それはひじょうによくわかります。
でも、わたしは個人としては、そのたびに、一度は「樹木は切らないほうがいいですよ」と、説得するようにしています。敷地の中の環境を、樹木を切ることで変えないほうがいいからです。
むしろ、今まで樹木のない家には、「省エネ」のためのリフォームの提案として、「この部分に、樹木を植えてみませんか」という提案も、絶対にありだと思っているほどです。
家の周りや、中に緑があるというだけで、住まう人にリラックスを与えてくれます。日本独特の四季おりおりのに移り変わりも、樹木は、なんとなく人に教えてくれています。決まった季節がやってきたら、紅葉や、果実をつけるのも、その最たるものです。それを収穫して、家族団らんの食卓で楽しむこともできます。
緑の木の下で、イスに腰かけて読書するのも、またふだんと違う味わいで楽しめると思います。ときには、大勢の人が募ってバーベキュー・パーティーを催すなんてイベントがあってもいいじゃないですか。美味しい食事と飲み物で、楽しい時間を過ごす。まさに、人も健康的になれるというものです。
家に適した樹木として、わたしがお薦めしたいと思うのは「梅」や「ビワ」でしょうか。もちろん実もなりますし、それを楽しむこともできます。逆に、あまり一般の家にお薦めできない樹木といえば、「カキ」でしょうか。なぜかだが「カキ」という植物には、カラスやハチが多く集まってくるらしいのです。これは、おいしいのですが注意しないといけません(笑い)。考えてみたら、樹木のある家が、本当の意味でいちばん究極の「省エネ」かもしれません。